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2012年1月

2012/01/31

1月31日、愛妻の日にちなんだ名曲を!

1月31日はⅠ(アイ)、31(サイ)で愛妻の日。
既婚者にとっては誠に迷惑な日であります。
朝、妻にそんな話をしたら親指と人差し指で
○を作って見せました。
「カネ、かい!」
妻への愛から生まれた名曲も多いですね。
ウェーバーの『舞踏会への招待』
エルガーの『愛の挨拶』
ボロディンの『ノクターン』
グリーグの『君を愛す』
今日はそんな愛妻家(=恐妻家?)の曲を
たくさん紹介してみます。

文体変わります。

昨夜は『舟を編む』(三浦しをん 光文社)を読む。
大手出版社の辞書編集部を舞台にした仕事と恋の物語。
「辞書は言葉の海を渡る舟で、
我々はその海を渡るにふさわしい舟を編むのだ」
というベテラン編集者の言葉から
タイトルが付けられている。
地味な仕事に賭ける人々の情熱。
今どきありえないくらいの純愛。
言葉に対する衒学的な話。
楽しく読める要素が満載の物語だ。
だが、その要素のどこにも入り込めない自分がいた。
全部中途半端。
主人公である変人編集者の名前が
馬締(まじめ)、ってどうなのよ?
身だしなみも気にせず、童貞で、下宿暮らしで
主食はインスタントラーメン。
そんな男が直筆で長い恋文を書いたら、
即、美人と結ばれ結婚できるなんて、漫画かアニメの世界だ。
女性誌から異動してきた女性の成長物語りも中身が無い。
百歩譲って、ティーンエイジャー向けの面白い小説、
ジュブナイルだろう。
でもこの小説は20代後半の女性をターゲットにした
女性ファッション誌に連載されていたそう。

2012/01/30

小説『部屋』誘拐され、監禁され、妊娠させられてしまった母と息子の物語

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『部屋』(エマ・ドナヒュー 講談社)を読み終えた。
猟奇的な男によって監禁された
母親と息子の生活を描いた物語。
母親はある日見知らぬ男に拉致され、
小さな天窓だけが付いた部屋に
閉じ込められてしまった。
男から性的虐待を受けて部屋で出産した男の子、
ジャックは5歳になったばかり。
部屋にはシャワーもトイレもあり
食事と日常品は男が運んでくるから
生きていくことはできる。
しかし、母と息子は外部との接触をいっさい禁じられてる。
かなり特殊な状況設定だ。
だが、ジャックは自分が特別な子供だとは思っていない。
彼は『部屋』しか知らないのだから。
彼にとって『部屋』が世界であり、
ママだけが本当の人間。
あとは全てテレビの世界での出来事だ。
異常を異常と思わない異常さ。
それどころか大好きなママと常に一緒にいられる
『部屋』は彼にとって幸福に満ちてさえいる。

ぼく、きょう5才になった!
きのう夜《洋ふくだんす》でねるときは4才だったけど、
まっくらけの《ベッド》で目がさめたら
ア、ブ、ラ、カ、ダ、ブ、ラ~5才にへんしんしていた!

こんな文章ではじまる小説は
全編がジャックの視点と言葉で語られていく。
文法的な間違いも多い幼児言葉で解き明かされる
極限状態の生活。
小説は中盤で母子が無事脱出に成功し保護
されるところから急展開をみせてくる。
ジャックにとって初めての『部屋の外』は
驚きに満ちていたからだ。
彼はこれから社会生活を営むことができるのか……

幼児言葉で小説を書きあげるという発想は
ユニークではあり、充分愉しめたが、
一本調子でやや盛り上がりというか
深みには欠けていたというのが正直な感想。
母親の視点、あるいは成長してからのジャックの回想
などをパラレルに織り込んでいったほうが
より重厚な作品になったような気もする。

映画化の話も進んでいるという。

2012/01/27

芥川賞作品『共喰い』を読んでみた。繊細な人柄かも

9784087714470
表紙を飾るのは
野見山暁治さんの作品。

記者会見での不機嫌さが話題になった
田中慎弥さんの受賞作
『共喰い』(集英社)が発売になったので
午前中に書店へ行ってみる。
自宅近くの比較的大きな書店だが、
見当たらないので店員さんに聞いたら
「昨日の夕方入荷したのですが即売り切れました」
との返事。
今日、27日発売だとニュースで流れていたけど~。
人間こうなると絶対にすぐ読みたくなるもので、
途中下車して大型チェーン店へ行ったら
2冊だけ残っていた。
で、早速ページをめくってみた。
70ページほどの短編なので1時間で読み終える。
昭和63年、地方都市の「川辺」に暮らす
17歳の少年が主人公。
彼は暴力的な父親を忌むが自分にも
その血が流れていることに不安を抱き、
暴力で女性を支配することへの渇望も隠せない。
少年は恋人をレイプした父を殺そうと決意するが……。
というけして逃れられない「血」の話だった。
なんだが、昔読んであまり理解できなかった
中上健次を思い起こさせる、どこか懐かしい文体。
純文学、って感じかな。
著者はすごく繊細な人柄なんだろうな、とも感じた。
もう何作か読んでみたい。

2012/01/26

映画『ピアノマニア』を観たらフーガの技法が聴きたくなる!

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映画『ピアノマニア』を観た。
一流のピアニストたちから絶大な信頼を得ている
調律師を追ったドキュメンタリーだ。
主人公のシュテファンはスタインウェイ社の技術主任。
元々はピアニスト志望だったが、
自分が求める理想の音と自分の技能のギャップゆえに
裏方に徹することを誓った完璧主義者だ。
そんな彼の今回の依頼主はフランスの巨匠で
これまた完璧主義者で知られるピエール=ロラン・エマール。
彼がバッハ晩年の未完の傑作『フーガの技法 BWV1080』の
レコーディングに挑むこととなり、
その調律をシュテファンが担当することとなった。
1年も前からピアノを選び、音を選んでいく2人。
エマールは次々と高い要求をしてくるが、
その表現はときに詩的、抽象的であり、
トップレベルにいる者同士にしか分からないだろう。
究極の響きを求めて、互いに譲らないピアニストと調律師。
2人のやりとりはときに緊迫し、沈黙が支配することもある。
調律師というのは音の誤差を修整するのが仕事。
その認識が完全に誤りであることを知らされた。
調律師とは音を創造するアーティストなのだ。
ということで今日はバッハの
『フーガの技法 BWV1080』をたっぷりオンエアする予定。

Photo_2
映画館のロビ-で購入した
ピエール=ロラン・エマールの
『フーガの技法』。

Photo_3
これは大好きなピアニスト
コンスタンチン・リフシッツの1枚。
読書のBGMにもお勧め。

2012/01/25

錦織選手の試合が観たい!

錦織選手の試合が観たい!
しかし、オッターヴァ・ルームにはテレビが無い!
放送局なのに~(もちろん、TBSだけ映ります)
テレビを消して音楽を聴こう、ということか。
でも気になる。
それにしてもイギリスに世界ランク4位の選手がいたとは。
ケン・ローズウォール以来?
ティム・ヘンマンはどこまでいったのか?

午前中、新橋のパナソニック汐留ミュージアムで
開催されている『今和次郎 採集講義展』を観てきた。
コンワジロウは明治21年弘前生まれの民俗学者であり、
関東大震災後の街や昭和初期の東京の様子や人々の
生活の変化を観察、記録、分析した
「考現学」の創始者としてしられている。
今は元々、柳田國男に師事していた。
だが柳田が失われた、目には見えない過去に主な
関心があったのに対し、現在、そこにあるものにこだわった
今はやがて袂を分かつことになる。
どこへ行くにもジャンパーを着て、
徹底的に街と人々の暮らしを観察し続けた今。
その業績は地味かもしれないけど、
彼の教えと姿勢は脈々と受け継がれている。
展示はスケッチが中心でやや地味。
彼の著作を読むきっかけにするつもりで
出かけるのがいいのかもしれない。
帰り際に
『今和次郎 考現学入門』
(藤森照信=編 ちくま文庫)を購入。
ちょっと面白そう。
展覧会については下記の公式サイトで
http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/12/120114/

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2012/01/24

映画『アニマル・キングダム』最凶のホームドラマ、あるいは無垢なノワール

Animaru_3

映画『アニマル・キングダム』を観た。
母親が死に、それまで疎遠になっていた
祖母と3人の叔父さんに引き取られた
17歳の少年の“葛藤”と“成長”を描いた物語。
そう紹介すると、涙と笑いありの
ホームドラマを想像されるかもしれない。
確かにホームドラマなのである。
しかし、そのホームは悪の巣窟。
銀行強盗や麻薬密売など
犯罪を重ねることでしか絆を結べない
異常な家族だった。
「映画史上最凶のホームドラマ」
作家、新堂冬樹さんが公式サイトに
寄せたコメントにうなずいてしまった。
(新堂さんもまだ読んだことのない作家、
一度読んでみようかな)

映画は少年の母親がヘロインの過剰摂取で
死ぬところから始まる。
死体の傍らで何の感情も表わさずに座っている
少年の姿が印象的で、将来を暗示しているよう。
祖母と叔父の家に新しい居場所を求めた少年。
だが、その居場所は警察に狙われていた。
警察は少年を保護し証言させることで
犯罪組織を壊滅させようと動く。
だが、警察内に裏切り者がいて話は複雑に。
17歳の自分を守ってくれるのは
警察かそれとも家族か。
悩んだ末に少年が出した答は……。
ラスト5分は2度驚かされた。
この作品が長編デビュー作となった監督は
自ら脚本も手がけたが、9年の歳月を費やしたという。
そういう日本映画が観てみたい!

なお、この映画はタランティーノが
2010年の映画ベスト20で3位に選んでいる。
彼が選んだベスト10は以下の通り。

1位 トイ・ストーリー3
2位 ソーシャル・ネットワーク
3位 アニマル・キングダム
4位 ミラノ、愛に生きる
5位 塔の上のラプンツェル
6位 トゥルー・グリット
7位 ザ・タウン
8位 Greenberg(日本未公開)
9位 僕の大切な人と、そのクソガキ
10位 エンター・ザ・ボイド

このサイトに詳細が記されている。
http://makemyself.blog64.fc2.com/blog-entry-505.html

2012/01/23

11歳の少女の名前が「傷痕」って、どういう意図?

名前はよく目にするけど一度も読んだことがない
小説家はたくさんいる。
桜庭一樹もその一人であり、
彼女(女性だった!)の新刊
『傷痕』(講談社)が何となくなく気になり読んでみた。
タイトルからハードボイルド風、
志水辰夫っぽい内容なのかと勝手に想像したけど、
これが大きな勘違い。

突然この世を去ったスーパースターが残した愛娘をめぐり、
大人たちの欲望と思惑が交錯する。
最愛の人を失い傷ついた少女の悲しみと回復、
そして再生を丹念な筆致で描き出す。
                                                講談社ホームページより転載

という筋書きなのだが、
このスーパースターが
マイケル・ジャクソンのパクリなのである。
生い立ちからのサクセスストーリー、
巨大な遊園地の話、幼児への性的虐待疑惑、
謎の突然死などなど、
訴えられるのではないかと心配になるほどの
完全コピーであり、
パロディなのかオマージュなのか
まったく理解に苦しむ。
小説家というのは登場人物の
キャラクター設定に細心の注意を払うと思っていたのだが~。

登場人物がどうあれ
ストーリーが面白ければまだいいのだが、
買って、読んでしまった自分に腹がたった1冊だった。
ちなみにタイトルは主人公の一人娘の名前。
意味が分からない!

2012/01/20

21 (土)は国立新美術館が無料開放されます!

明日21日(土)は六本木、
国立新美術館が無料開放されます。
開館5周年を記念してのことであり、
全ての展覧会の観覧料が無料になる他、
記念品も用意されているとのこと。
その他にもイベントがあるので、
天気は心配ですが館内に入ってしまえば暖かいので、
一日中美術館で過ごすのもいいですね。
詳細は公式サイトで
http://www.nact.jp/

さて、今日は日本とイタリアの文化交流サロン
「アッティコ」代表でローマ在住の村本幸枝さんから
届いた最新メールをご紹介します。
タイトルは『イタリア 冬のバーゲン2012』

1月5日にバーゲン初日のミラノを取材してきました。
イメージとしては、ショップの開店前から行き交う人々、
モンテナポレオーネ通りでブティックのオープンを待つ
買い物客の行列!
…だったのですが、人々が列をなし警備員が買い物客の
整理にあたっていたのはグッチの前だけ。
他のお店は通常どおりの様相。
逆にグッチとのギャップにちょっと驚きました
(グッチって人気なんですねぇ〜)。

地元メディアに混ざって早速、行列に近づきインタビュー
を試みるとその大半は外国人。日本人の数も少なく、
アジア系は中国、シンガポール、韓国の人がほとんど。
(一時期は右も左も日本人だらけだったのに)

平日の午前中ということもあったのでしょうが、
『イタリア人は何処に〜』と、ドゥオーモ周辺を歩いて
みると、なんとものすご〜い行列に遭遇。
しかも、ほぼ全員イタリア人!
『なんだ、なんだ? この店は?!』と、列をかき分け、
店の入口にたどり着き確認すると、なんと『アバクロ』。
米系カジュアルブランド『アバクロンビー&フィッチ』
でございました…(苦笑)。
で、さぞかしセールの割引率が高いのだろうと、
店の人に尋ねてみると『うちはセールはやってないよ』
とのお返事。『2, 3日後にセールを開始するかも…』
との強気な回答。
スムースに進んでも後列の人は1時間半待ちという、
長蛇の列に並ぶイタリア人にコメントを求めると、
遠方からわざわざアバクロを目指して来たイタリア
の若者女子グループ、娘にせがまれてしぶしぶ付き
合わされて並んでいるお父さん などなど。
『イタリアでアバクロがあるのはミラノだけだから』
『とにかく、アバクロへ行くことが大事なの!』と、
イタリアの若者にかなりのブームとなっている模様。
冬休みということもあってこの日は長蛇の列でしたが、
通常の日でもいつも行列ができているそうです。

イタリア人は外国ブランド (ZARA、H&M、GAPも
混雑していました) に走り、
外国人はイタリアブランドを追い求め。
なんだか、不思議な光景でした。

                             村本幸枝

日本にいたってイタリアは楽しめる!がモットーの
「アッティコ」では語学講座や料理教室のほか、
さまざまなイベントを開催しています。
ぜひホームページを覗いてみてください。
http://www.attico.net/

ちなみにいまはカジュアルブランドとして知られている
アバクロですが、もともとは高級アウトドアブランドであり、
ヘミングウェイも大のお気に入りだったんです。

2012/01/19

『心のおくりびと』震災後、300を越える遺体を復元した女性の想いに打たれました

Okuribito

『心のおくりびと』(今西乃子 金の星社)を読んだ。
東日本大震災の発生から5カ月間で
300を超える遺体をボランティアで復元した
復元納棺師、笹原留似子さんの活動を追った
ノンフィクションだ。 
笹原さんの活動は新聞やテレビなどでも
報じられているのでご存知の方も多いと思う。
映画のヒットによってその存在が広く
知られるようになった納棺師。
そこに「復元」の文字が加わると、
仕事の内容も意味合いも違ったものになってくる。
津波にのみ込まれ、
死後数日、あるいは数週間たってから
荼毘に付されようとしている遺体は損傷が激しい。
「子供にはみせたくない。みせられない」
そう考える人も多かったそうだ。
だが、亡くなった人の最後の姿は
生前の思い出と重なってくる。
永久の別れを告げるとき、
故人には穏やかに微笑んでいて欲しい。
その笑顔が遺されたものの心に宿るからだ。
生前の眠ったような顔に「復元」して
最後のお別れをさせてあげたい。
その想いで、笹原さんは生前の写真と
目の前の遺体を何度も見比べながら作業を進める。
硬直した頬をほぐすまでに1時間以上かかる
こともあるという。
大切なのは遺体の顔を創るのではなく、
あくまでも生前の眠ったような顔に戻すこと。
笹原さんが復元した遺体と向き合い、
初めて涙を流した遺族もいた。
「辛かったね~」と声をかける遺族もいた。

人は死を受け入れることで、
新たな生に向かって歩き出すことができる。
弔い、というのは亡くなった人が
遺された人に贈った最後のプレゼントなのかもしれない。

本日午前中に
埼玉県立近代美術館で開催されている
『アンリ・ル・シダネル展』を観てきました。
これお勧めです。2月5日(日)まで。
http://www.momas.jp/3.htm
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2012/01/18

『「お手本の国」のウソ』隣の芝生はそんなに青くない

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『「お手本の国」のウソ』(田口理穂ほか 新潮新書)を読む。
女性誌の巻頭コラムにある「各国事情」の
拡大版のような内容。
「ウソ」というよりは「実情」のレポートだった。
フランスの少子化対策、
アメリカの陪審員制度、
フィンランドの教育メソッド、
イギリスの二大政党制、
ニュージーランドの自然保護、
ドイツのナチス追及、
などなど、どれも政治家や文化人が他の国では~
と必ず例に出す○○先進国の理想郷のような姿。
しかし、各国がそのような選択を選んだのは、
それなりの苦い過去があり、紆余曲折を経た
今でもそれなりの問題があることを、
現地に住む日本人がリポートしている。
正直、そんなに面白い本ではないけど、
読みながら思い出していたのは
内田樹さんが言う
きょろきょする、日本人像だった。
「他国との比較を通じてしか国家像を描けない。
国家戦略を語れない」日本。
経済で中国に抜かれたと大騒ぎし、
オリンピックのメダル獲得数が韓国に及ばないと嘆き、
学力で北欧に負けて悔しがり、
人口密度が比較にならない国の環境保護を見習えという。
豊かで・賢くて・優しい国。
そんな理想郷なんてあるはずないのに、
何かを得るためには何かを捨てなければいけないはず。
なのにその現実を政治家は語ろうとはしていない。
お手本にしてはいけない国日本。
その現実を改めて痛感させられた本ではあった。
隣の芝生は気にしない。ということか。

2012/01/17

『遺体  震災、津波の果てに』知りたくはなかったけど、知ってよかった事実

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『遺体  震災、津波の果てに』(石井光太 新潮社)を読む。
もっとも知りたくないことを、もっとも克明に知らされた。
そんな読後感のルポルタージュだった。

ノンフィクション作家の著者は東日本大震災発生の
3日後に、津波の被害が最も大きかった被災地の
ひとつ釜石に向かう。
「見なければ、語る資格はない」
その信念を貫くために出向いたのは遺体安置所。
そこには変わり果てた姿となった遺体が次々と運ばれてきていた。
棺はもちろん、腐敗を遅らせるためのドライアイスも足りない。
ビニールシートで隠すのが精一杯の状況だ。
街で一番大きな葬儀社も壊滅してしまった。
いや、仮に街中の火葬場をフル稼働させたところで、
追いつく数ではないのだ。
遺体の扱い方に慣れている人間はそう多くはない。
目をそむけたくなるほど損傷している遺体も多い。
そして異臭。パニックに陥る人間がいても当然だ。
そんななか、自らも被災者でありながら、
遺体と向き合った人々がいた。
葬儀社務めの経験を生かし、安置所の運営を申し出た民生委員。
医学的見地から、死体の身元確認を行った医師、歯科医。
遺体を捜索し、安置所まで移動させた人々。
著者は遺体と向き合い、弔ったひとびとの行動を通して、
大手マスコミが触れなかった、大震災と津波被害の深部を描いた。
読んでいるのが辛くなる本ではある。
途中でやめようと思ったことも正直ある。
できれば一生知らずにいたかった事実なのかもしれない。
しかし、それは起きてしまった。
著者はあとがきにこう書いている。
「復興とは家屋や道路や防波堤を修復して済む話ではない。
人間がそこで起きた悲劇を受け入れ、
それを一生涯十字架のように背負って生きていく
決意を固めてはじめて進むものなのだ。」

それにしても釜石の人々の団結力というか、
他人を思いやる気持ちには心打たれた。
東京だったらどんな事態になっていたのだろうか?

2012/01/16

映画『ロボジー』ミッキー・カーチスがいい味だしてました!

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このハイテク時代にロボットが着ぐるみだなんて誰も疑わない。
その心理を逆手にとったアイデアは面白い!

週末に映画『ロボジー』を観る。
ロボット+ジジイがタイトルの意味。
弱小家電メーカーの窓際社員3人が
社長から2足歩行ロボットの開発を命じられるが、
ロボット工学の知識はほぼゼロ。
窮地に立たされた彼らは
ロボットの中に人間を入れてごまかすと、
これが大成功し、ロボットも3人も注目を浴びるが、
当然ながら怪しむ人もいる訳で……。
『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』の
矢口史靖(しのぶ)監督作品であり、
奇抜な発想とクスクス笑い(大爆笑ではない)、
そしてちょっといい話など、基本はいままでの作品と
共通していて娯楽映画としては楽しめたと思う。
73歳にして初主演デビューを飾ったミッキー・カーチスがいい!
ロックン・ローラーのイメージを破って、
居場所を失った老人を熱演していた。次回作も楽しみだ。

2012/01/13

棟方志功からウルトラの父まで、青森ゆかりの芸術家たち

午前中、パルコミュージアムで開催されている
『北の異才たち』を観てきた。
青森県立美術館に所蔵されている
東北、青森出身あるいは縁深い芸術家たちの
作品が展示されている。
神仏像や美人画に独特の様式を打ち立てた棟方志功。
パリで異彩を放った、作品も人物も過激だった工藤哲巳。
岡本太郎の薫陶を受け「風土と芸術」にこだわり続けた村上義男。
写真界のミレーと称された小島一郎。
ウルトラマンの生みの親である成田亨。
若い世代の圧倒的な支持を集める奈良美智など
普段あまり触れることのない作品に出会えた。
特に青森という厳しい自然のなかで生きる人々を
捉えた小川一郎の写真がいい。写真集が欲しくなった。
ただ、作品点数、構成内容からして
500円の入場料はやや高い、というのが正直な感想だった。
1月29日(日)までの開催。
http://www.parco-art.com

2012/01/12

風呂の水は洗濯に使って節約するべきか、災害に備えて溜めておくべきか

Top
原稿は「ほぼ日」のサイトで読めてしまうが、
印税が支援活動に寄付されるので、買いましょう。


『できることをしよう。』(新潮社)を読む。
糸井重里さんとスタッフが取材・執筆し、
ネットで発信している「ほぼ日刊イトイ新聞」が
震災直後から掲載した記事をまとめたもの。
糸井さんは震災2日後の3月13日にツイッターで
「じぶんひとりを三日雇えるくらいのお金」を寄付すべき。
とつぶやいたことが話題となった。
ニュース映像で惨劇を知らされた多くの人が、
何かできることはないか!と慌てているときに
「いまはとにかくお金。
気持ちではなくそれなりの額、あなたにもそれなりの負荷が
かかる金額を寄付しましょう」と訴えたのだ。
もちろん、10カ月が過ぎた今では
僕らが力になれることはお金以外にもたくさん増えたと思う。
でも、気持ちよりは効果が大切という基本は変わっていないはず。
本の内容については番組でお話しますが
特に西條剛央(たけお)さんという学者さんと、
糸井さんの対談には教えられることが多かった。
「構造構成主義」という難しそうな学問を研究している
西條さんは専門知識を生かし、震災直後に
「ふんばろう東日本支援プロジェクト」を立ち上げた。
このプロジェクトの特徴を西條さん自身の言葉で説明すると
次のようになる。

僕らが現地で聞き取ってきた必要な物資をサイトにアップして、
それをツイッターで拡散することで、
全国の人が送れる物資を被災者に
直接送り、その報告を受けることで
届く物資の量をコントロールするというものでした。
シンプルな方法ですが、これによって
「被災者が必要としている人に必要なものを
ダイレクトに届ける」ことを可能にしたのです。
本プロジェクトは、いわば、全国の一人一人の
「被災者のために何かしたい」と
いう気持ちが集まった市民意思機能というべきものです。

                               プロジェクトのホームページより転載

ホームページをみてみると、たくさんのプロジェクトがあって
大きな成果を収めていることが分かる。
僕にも何か参加できるものがありそうだ。
ホームページはこちら
http://fumbaro.org/

3月13日に糸井さんがつぶやいた内容はこちらで
http://www.1101.com/20110311/tweet.html

ところでこの本では震災への備えとして
必要なことを紹介しているが、
そのひとつに「風呂の水を溜めておく」と
いうアドバイスがある。(194~195ページ)
ただしこの水を消火に使うのは危険との指摘も。
確かに停電や断水への備えとして必要だと思う。
昨年、2時間程度停電しただけでも
トイレの水に困った記憶がある。
だが、この文章を読みながら僕は悩んでしまった。
我が家では風呂の残り水は洗濯に使っているからだ。
洗濯とすすぎ1は風呂の水。
すすぎ2は水道水。
毎朝2回洗濯するので水はほぼ無くなる。
節水にもなるし、水道代も抑えられる。
2か月で5,000円近く節約できた。
万が一の「備え」を優先するべきか、それとも
日々の「節約」を優先するべきなのだろうか?
下着もタオルもシャツも何でも一緒に洗って
洗濯回数を減らせばいいのかもしれないが、
それができないのです。
なお、万が一の「備え」と書いたけど、
この表現は正しくないのかもしれない。
今朝のニュースに
「東海地震、30年以内の確立88%に」
という見出しがあった。

2012/01/11

『僕のお父さんは東電の社員です』僕もです

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ということで、個人的心情から
タイトル買いしてしまった1冊。
現代書館から発売されている。
これは小学6年生の男の子が書いた一通の手紙が
きっかけとなり、多くの子供たちが
原発・東電・そして現代社会について
率直な意見を述べ合った手紙を編集したもの。
子供たちへの返信として森達也さんが
「僕たちのあやまちを知ったあなたたちへのお願い」
と題された長い手紙を書いている。

東日本大震災、福島原発事故以来、
東電、および社員への世間の風当たりは厳しい。
そんななか小学6年生のゆうだい君(仮名)から
毎日小学生新聞の編集部に手紙が届く。
「突然ですが、僕のお父さんは東電の社員です。」
そう始まる手紙のなかで、ゆうだい君は
原子力発電所を造ったのは誰でしょうか?
と問いかける。
もちろん、直接造ったのは東電(メーカーもね)。
だが、その原因を造ったのは「世界中のみんな」。
だからこそ人のせいにしないで、みんなで話し合うべき
とゆうだい君は訴えた。
この問いに多くの小中学生が反応し手紙が届く。
ゆうだい君に賛成する者もいれば、
「東電が悪い」「政府が悪い」と返す者もいる。
だが小学生たちは人を責めるだけではなく、
その先の未来に向けて何をするべきかを考えていた。
ゲームとAKBにしか興味ないのかと思っていたけど、
小学生は意外としっかりしていた!

もちろん答えなどない。
それでいい。
今回の災害によって子供たちが
考えることの大切さ、
言葉の大切さを知ってくれたのなら、
それは大いなる不幸中の大きな希望だと思う。
そして森達也さんは、日本が
世界有数の地震大国でありながら。
世界で唯一、原爆と水爆の被害を経験した国でありながら。
世界第3位、54基の原発を保有する国に
何故なってしまったのか。
大人たちは、戦後の日本は何故ノーと言わなかったのか。
その理由を謝罪の言葉と共に説明しようと試みた。
かつて石油の供給を断たれて戦争に突入していった
という日本の歴史も語られている。
その他、同調圧力、ミルグラム実験、過剰進化、
水俣病などの言葉が含まれていて、
小学生にはやや難しいかもしれない。
むしろ、原発問題に関して明確な意見を持てないでいる
多くの大人たちに宛てられた手紙であるような気がする。

僕の父は東電で原発に携わるようなエリート社員ではなかった。
末端の末端だった。
でも役にも立たない責任感だけは強い人だったから、
生きていたら今回の事故をどう思ったのだろうか?
「おれは現場に行くぞ!」と意気込んで
母に「どうぞご勝手に」なんて言われていたかもしれない。
生きていて欲しかったような、
死んでいてくれてよかったような。
複雑な気持ちではあります。

2012/01/10

『ローラ・フェイとの最後の会話』簡潔で手強い小説。

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アメリカのミステリー文学界の巨匠、
トマス・H・クックの新作
『ローラ・フェイとの最後の会話』
(ハヤカワポケミス)を読む。
ほぼ全編が男女2人の会話だけで進んでいく
シンプルな構成だが、なかなか手強い小説だった。
行間を知るにはもう一度読む必要があるかもしれない。
主人公は歴史学を専攻する大学教授のルーク。
彼は生きたアメリカの歴史、
心臓の鼓動が感じられる歴史の本を書きたいと、
願っているが、
自分自身の歴史には何かが欠落していると感じている。
パズルのピースが足りないのだ。
誰かに奪われたのか、
それとも自分でポケットに隠しているのか?
そんな彼の前に現れたのがローラ・フェイ。
20年前、彼の家族を引き裂いた悲劇の
原因を作った女性だ。
「人妻である彼女が父と浮気したために、
あの事件は起こった!」
そう信じて疑わないルーク。

久しぶりに再会した2人は、
酒を飲みながら、事件の真相を探ろうと務める。
ローラ・フェイの巧みな尋問によって
封印していた記憶が取り戻されてくるルーク。
粗野で無能だと見下していた父親。
脱出できるなら何でもすると嫌っていた故郷。
だが、自分は何も見ていなかった。
何も知ろうとしていなかった。
穢れない少年だと思っていた自分の過去は偽りだった。
ワインの酔いと共にルークは
欠けていたピースを見つけだし、
己の半生というパズルを完成させていく。
そして……。

過去と現在を、ごく自然につなぎ合わせていく
巨匠の文章は見事!
昨日を知らなければ、明日はない。
改めて、そのことを教えられた秀作だった。
舞台化されたのならぜひ見たい。

2012/01/09

映画『善き人』強制収容所に流れるマーラーが悲しすぎた

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大学教授にしてはマッチヨ過ぎる気もしたけど、
ヴィゴ・モーテンセンの演技は素晴らしかった!
公式サイト
http://yokihito-movie.com/


週末に映画『善き人』を観た。
原題は『GOOD』だが、
映画のテーマは『BAD』。
しかも、自らの意思で確信犯として悪を行うのではなく、
時代に翻弄され、結果として悪に加担してしまう、
善良な市民の苦悩を描いている。
1930年代、ナチス政権下のドイツが舞台。
ヴィゴ・モーテンセンが演じる大学教授ハルダーは
ごく普通の市民として暮らしていた。
病を抱えた母と、神経質な妻、
遊び盛りの子供2人の面度をみながらも、
教え子と不倫関係になり、
酔えばヒトラーの悪口を言っている。
悩み多き知識人だ。
だが、以前に書いた小説をヒトラーに気に入られた
ことで彼の人生は大きく変わってしまう。
入党させられた彼はどんどん出世し、権力者に。
そんなとき、友人であるユダヤ人の医師から
パリへ逃れるための出国許可書を手に入れて
欲しいと頼まれる。
いくらなんでも危険すぎる頼みだ。
救うべきなのは友なのか、それとも自分や家族なのか。
従うべきは己の良心なのか、それとも権力者の意向なのか。
悩み抜いたハルダーはついに行動を起こすが……。

映画はハルダーが強制収容所の現実を目の当たりにし、
自分が加担している罪の恐ろしさに呆然とする
シーンで終わっている。
そのときユダヤの囚人たちがマーラーの
交響曲第1番第3楽章を奏でていた。
ナチス党員の前で演奏するための練習だろう。
だが、ユダヤ人であるマーラーの曲が
収容所で許可されるものなのだろうか?

なお、ハルダー教授と同じように
意志とは関係なくナチスに加担してしまった
ベルリン・フィルのメンバーの証言を元に
作られた映画『帝国オーケストラ』という作品もお勧め。 
DVDレンタルあり。

2012/01/06

新駅よりホームドアの設置を急いでくれ!

そう思っているのは僕だけでしょうか?
JRの発表によれば山の手線内で本格的な設置を
開始するのは2013年度以降とのこと。
http://www.jreast.co.jp/press/2008/20080603.pdf#search
今日、大惨事が起きてもおかしくない状況なのに。

さて、今日は日本とイタリアの文化交流サロン「アッティコ」代表で
ローマ在住の村本幸枝さんから届いた最新メールをご紹介します。
「ユーロは破綻する」またまた飛び出した政治家の不用意な
発言は困ったことですが、それでもヨーロッパ、
特にイタリアの財政状況は深刻なようです。
では、メールを転載します。

笑えるネタをと思いつつも、右を見ても左に目を向けても
『不況』『経済危機』の二文字が目につく昨今のイタリア。
クリスマス前にイタリアへ戻り、滞っていた支払をしようと銀行に行ったら、
今年から週に1,000ユーロ以上の現金は引き出せないとのこと(絶句)。
自分の口座なのに。
高額の移動を必要とする場合はしかるべき書類への記入が必要となるそう。

郵便局の窓口で年金を現金で受け取ることもできなくなり、
私の知人のお父さん(95歳)は口座を開くことを余儀なくされたとか。
しかも、ここでも1,000ユーロ以上を一度に
引き出すことができないため、限度額をほんのわずかだけ
上回る年金を全額受け取るのに、二度も郵便局へ足を
運ばなきゃならない…と嘆いていました。

イタリアの口座は印紙代やら税金やら手数料やら、口座維持のために
わけのわからない費用がかかり、微々たる利子がついても、
預けている元金を割ってしまうので年金も目減り。踏んだり蹴ったりです。

現在、イタリアで需要のある仕事は、国際ビジネスに精通した弁護士だそう。
母国語の他、最低2ケ国語の知識が必要だとか。
またはそのほとんどが海外からの出稼ぎである家政婦さんや、
ひとり暮らしの高齢者を住込みでケアする仕事。

イタリア社会で今必要とされているのは、いわゆる、超ホワイトカラーか、
専門的な資格を必要としない、どちらかと言えば多くのイタリア人が
やりたがらない仕事と、両極端に分かれるわけです。

そんななか、ここ数日、国会議員の高額な給与が
やり玉に挙っています。以下が欧州5ケ国を比較
した下院議員の給料 (税引き前)だとか。

イタリア…16,000ユーロ
フランス…13,500ユーロ
ドイツ…12,600ユーロ
オランダ…10,000ユーロ
スペイン…4,300ユーロ

国会議院1人につきかかる経費や特別手当も他国に比べ、
イタリアが最も高額だそうです。
さらに、交通費(飛行機、電車、船、高速道路)は全て無料。
国会ではすでに (当然のごとく) 減額反対の声が上がっていますが、
本当にここに切り込めたら、『モンティ内閣あっぱれ』ですよね。

                                     村本幸枝

日本にいたってイタリアは楽しめる!がモットーの「アッティコ」では
語学講座や料理教室のほか、さまざまなイベントを開催しています。
ぜひホームページを覗いてみてください。
http://www.attico.net/

2012/01/05

『あの日、パナマホテルで』柴田元幸さんが泣いてしまった小説です

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柴田元幸さんが「泣いてしまいました」と
腰帯に書いてあったので思わず買った
『あの日、パナマホテルで』(集英社文庫)。
泣かなかったけど、涙腺は緩んだ。
2012年、最初に読んだ本。
「今年も本を読もう!」
素直にそう思わせてくれた素敵な小説だった。

1942年、戦時下のシアトルを舞台にした
12歳の少年と少女の哀しい恋の物語。
少年は中国系、少女は日系のともに移民2世。
(開戦時、シアトルの日本人町の人口は
7000人を超え、そのシンボルでもあったのが
パナマホテル、だったそう)
アメリカで生まれ、英語で生活しているのだから
自分はアメリカ人だと2人は考えているが、
周囲はそう思ってはくれない。
有色人種は全て敵国民、なのである。
学校でいじめられながらも、
だからこそ絆を深めていく少年と少女。
しかし少年の父親は国粋主義者であり、
祖国が日本軍と戦うための資金集めに奔走するほど
日本、日本人を憎んでいる。
息子に「アイ・アム・チャイニーズ」と書かれた
バッジを強制的につけさせ、
日本人と交際していると知ると死ぬまで許さなかった。
やがて日本人である少女は強制収容所に連行されてしまう。
少年は彼女を訪ね、愛を確かめるのだが……。

戦争中に起こった悲劇が
現代を生きる人々にも影響を与えているという
問いかけは『サラの鍵』と共通したもの。
物語としての深さは比べようもないが、
どちらも我々日本人が見逃している(ように思う)
歴史の重みを教えてくれたような気がする。

なお、少年は大人になりボーイング社の
優秀な技術者となった。
787の開発に携わったのかもしれない。
かつて少女の祖国にたくさんの爆弾を落とした
飛行機を製造した会社だ。
作家の意図はどこにあるのだろうか?

2012/01/04

映画『サラの鍵』原作通りのラストは賛否両論かな?

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公式サイト
http://www.sara.gaga.ne.jp/

映画『サラの鍵』をようやく観た。
原作はタチアナ・ド・ロネの同名の小説であり、
世界で300万部を超えるセールスを記録している。
これは1942年にパリ、マレ地区で起きた
フランス警察によるユダヤ人一斉検挙事件、
いわゆるヴェルディヴ事件を元に、2人の女性の生きざまと、
時代を超えて受け継がれていく想いを描いた作品。
社会派ドラマだけど、
あくまで個の視点に徹しているところがいいと思う。

1人目の女性はヴェルディヴ事件に巻き込まれた少女サラ。
彼女は弟を納戸に隠して「鍵」をかけ、
必ず助けに来るから動かないで、と諭した後に連行されてしまう。
収容所から脱出し親切な老夫婦の助けもあって
アパートに戻り「鍵」を開けたサラだが、
そこには変わり果てた弟の姿があった。
自分は生き延びた。
両親はフランス政府とナチスによって殺された。
だが、弟は自分が殺してしまった。
その後悔は一生サラを苦しめ続けた。
「わたしは子供を背負うように あなたの死の重みを背負う
この地上から消える日まで それを背負う」
(新潮社の原作372ページ)

もう1人の女性は現代のパリに暮らす
45歳のジャーナリスト、ジュリア。
ヴェルディヴ事件を調べていた彼女は
夫の家族が長年暮らしていたアパートが、
サラたち一家の部屋であったことを知ってしまう。
だが家族はそのことを語ろうとはしない。
60年以上も前、何が起こったのか。
サラがまだ生きているのなら会って
事実を確かめたいと思ったジュリアは
パリ、ニューヨーク、フィレンツェと
取材を重ねていく。
だが、それは過去を封印した人々の
辛い記憶を呼び起こし、サラが守ろうとした秘密さえも
明らかにしてしまう罪と紙一重。
ジュリアが知ろうとした過去は国家や組織に
よる大きな犯罪ではない。
時代に翻弄された家族や個人の小さな秘密なのだ。
そこにジャーナリストとしての正義はあるのだろうか。
真実は人を幸せにできるのだろうか。
ジュリアは自問しながらも秘密に近づいていき……。

ジュリアを演じた女優も素晴らしかったが、
この映画のポイントはサラを演じた2人の若い
女優の存在感だと思う。
少女時代を演じたメリュジーヌ・マヤンスは
前作『リッキー』を観て監督が惚れ込み
出演を決めたそうだが、とにかく目力が凄い!
そして大人になってからのサラを演じた
シャーロット・ポートレル。
出演時間はわずかで、台詞すらないのだが、
その美しい瞳の奥に「弟を殺してしまった」運命を
見事に映し出していて、
美しいゴーストのような存在感を醸し出していた。
でもこの女優に関するデータがまるでない。
パンフレットに書いて欲しかった!

ということでとてもいい映画だったのだが、
ひとつだけ気になったことがある。
タイアップかと思うほど携帯やパソコンを
使うシーンが登場していたのは何故だろう?
同じ日に観た『永遠の僕たち』が
まったくそういうシーンのない映画だったので
余計に気になった。

なお、ヴェルディヴ事件をベースにし、
昨年公開された映画『黄色い星の子供たち』は
すでにDVDレンタルされている。

2012/01/03

今年の映画初めに選んで良かった『永遠の僕たち』

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怖いシーンはありませんので安心してください!
http://www.eien-bokutachi.jp/

今年最初の映画は『永遠の僕たち』。
監督はガス・ヴァン・サント、
『グッド・ウィル・ハンティング』とか
『小説家を見つけたら』など
意外と好きな映画を撮っている人だ。
映画は原題のRestless(不安な)が示すとおり、
思春期の男女の不安と苛立ち、
そして死をテーマにしている。
両親を交通事故で失い、自らも臨死体験をした青年は
両親の葬式に立ち会うこともできず、
その死を受け入れることができない。
愛する人を失うとはどういうことなのか、
それを確かめるため他人の葬式に出席する日々。
心を開ける唯一の友人は特攻隊員として戦死した幽霊だけ。
そんなある日青年は難病で余命3ヶ月を宣告された少女に出会う。
死を受け入れられない青年と
死から逃れられない少女。
二つの純粋で脆い心は少しずつ惹かれあっていき……。

青年の成長物語なので、
僕のような中年からすればどかしいシーンもあったけど、
過剰な演出を避けた映像はすがすがしかった。
人生前向きな気持ちにさせてくれた佳作。
なお、主役を演じた俳優が誰かに似ているなぁ、
(特にうつろな瞳)と思っていたら昨年亡くなった
デニス・ホッパーの息子さんだった。

2012/01/02

『よろしく千萬あるべし』心からそう願った元日でした

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大晦日の夜に呑んでいた焼酎が
『よろしく千萬あるべし』という1本
『八海山』が作っている米焼酎です。
宜有千萬とは限りなく多くの福が得られるようにと願う、
中国で古くから使われている吉語とのこと。
これがまたスイスイ呑めてしまう、
困ったお酒であり、紅白が始まったころには
すっかりできあがってしまい、
松井冬子さんの着物姿もよく覚えていません!
やや二日酔いで目覚めた元旦は
『洗心』という日本酒をちびちび。
またまたすっかりできあがってしまい
昼寝していたら突然グラッときて飛び起きる。
震度4。
何かの予兆なのだろうか?
ちょっと嫌な予感がする。

よろしく千萬あるべし
心からそう願った元日でした。
今年もよろしくお願いします。

profile

清水 清

 テニス専門誌や幻の名雑誌といわれた『バッカス』の編集を経て、『エスクァイア』日本版編集部に。4年間を副編集長、5年間を編集長として在籍し、イタリアのスローフードやバリ、日本のBAR、沖縄、アートなど自分の趣味をそのまま誌面に反映させた特集に従事する。 『エスクァイア』退職後、4ヶ月間の石垣島生活を経て、現在に至る。座右の銘は「漂えど沈まず」。

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