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2010年6月

2010/06/30

12年前、岡田監督が語ってくれた夢

昨夜はテレビの前で一致団結した家族が多いでしょうね。
家族が共に過ごす時間を作った、という意味でも
日本代表の皆さんに感謝するべきだと思います。
お疲れ様でした。

僕は岡田武史監督にインタビュー取材
させていただいたことがあります。
1998年、フランス大会の直前。
サッカーに詳しく著作もあるライターさんを聴き手に
貴重な話を伺いました。
それまでテレビ映像を通して「神経質そうな人だなぁ~」と
緊張していたのですが、実際の岡田さんは温厚な紳士でしたよ。
1時間ほどの取材のなかで、岡田さんは
サッカー、またはスポーツを中心にした
教育システムや地域コミュニティの重要性を説き、
自分もいつか、指導者としてそういった社会貢献に携わりたい、
という趣旨の発言をされていました。
ヨーロッパの多くの国では小さな村落にも
サッカークラブがあり、フィールドを中心に
人々が集って自分たちが住む場所について語り合い、
住みやすい共同体について考えるようになる。
単に技術の向上を目指すだけではないサッカーの重要性に
ついて熱く語っていらしたような気がします。
今朝の報道によれば岡田さんは退任の意向を示しています。
富良野で農業を営み晴耕雨読の暮らしがしたいと、
海外メディアに語ったとのニュースも伝わっています。
それはそれで羨ましいセカンド・ライフだと思うけど、
12年前の“夢”を実現させて、
日本サッカー界、そしてサッカーを通じてのコミュニティ作りに
尽力してもらえることを、僕としては期待します。

このブログでは、僕が出会った素敵な言葉を
(できるだけ)毎日紹介していきたいと思っています。
新しい、古いに限らず書籍や映画で知った言葉、
友人との会話のなかで見つけた言葉、
ときにはその種のネタ本からも探していくつもりです。

そこで、リスナーの皆さんからも、
たくさんの言葉を教えていただけないでしょうか。
あなたの心に深く刻み込まれた言葉。
苦しいとき、辛いときに支えてくれる言葉。
ムカついたときに自分をなだめる言葉。
家族や友人、先輩に教えられた言葉。
人に伝えたい言葉。
あなたのなかの「大切な言葉」をぜひ教えてください。
僕の番組のメールアドレスはこちらです。
moderato@ottava.jp

2010/06/29

スメタナの『わが祖国』を聴いて祖国に戻ったミュシャ

7月4日(日)まで三鷹市美術ギャラリーで開催されている
『アルフォンス・ミュシャ展』。
週末にやっと観ることができ、
ミュシャに対する見方が大きく変わったきたので
今日はまずそんなお話をしてみたいと思います。
ミュシャといえば19世紀末にパリで活躍した
アールヌーヴォーを代表する芸術家。
美女を描いたポスターなどで知られていますが、
それだけに商業活動をメインにした、
“軽い”アーティストというイメージを持っていたのです。
でも、それは彼の人生と作品のほんの断片でしたなかったのです。
例えば彼は生涯を通じて宗教画を描いています。
そしてフリーメイソンの重要なメンバーでもあり、
人生後半の時間はほとんどのエネルギーを
この組織のために捧げたそうです。
またパリやアメリカで成功していたにもかかわらず、
彼の想いは常に祖国チェコにあったことを知りました。
1908年、ニューヨークに滞在していたミュシャは
チェコの先輩であるスメタナの交響詩『わが祖国』を聴いて感動し、
自分も芸術を通して祖国に貢献する決意を固めました。
そしてチェコに戻り、祖国と民族の歴史を描いた、
『スラヴ叙情詩』の連作に専念したのです。

今回、特に心惹かれたのは『チェコの心』という作品。
パリ時代に描いた華やかな女性像とは対照的に、
貧しくとも逞しく生きる女性の姿が描かれています。
この絵を観ていると、ドボルザークが片思いした女性や、
スメタナが恋文を送り続けた女性の
姿がなんとなく想像できるような気がしてきました。

『アルフォンス・ミュシャ展』三鷹市美術ギャラリー
http://mitaka.jpn.org/ticket/gallery/

Dsc00466
『チェコの心』1917年(展覧会の図録を複写)
スメタナ、ドヴォルザーク、フィビヒらが
愛したのはこんな女性だったのでしょうか?

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2010/06/28

『闇の列車、光の旅』を週末に観てきました

週末、久しぶりに映画を観ました。
『闇の列車、光の旅』(2009年、アメリカ・メキシコ)です。
『モーターサイクル・ダイアリーズ』や
『天国の口、終りの楽園』などで強い印象を残してくれた、
メキシコの若手俳優ガルシア・ベルナルが製作総指揮を務め
2009年のサンダンス映画祭で監督賞と撮影監督賞を受賞した作品で、
中南米の厳しい現実を捉えたロードムービー。
そしてとても素晴らしい作品です
でも救いのない結末には気持ちが暗くなり、
思わずBARに直行してしまったのです。
(銀座の名店『スタア・バー』の2号店『LAND BAR』が最近オープン
して、ここはなんと午後3時から営業している)。

貧困から抜けだすためホンジュラスを出てアメリカを目指す少女。
犯罪組織の一員だったが、今は追われる身となったメキシコの青年。
この2人が出会い、自由を求めて旅を続ける姿をカメラが追っていくのですが、
この逃避行が見ていて本当に辛い。
警察にも、犯罪集団からも追われ、信じていた人には裏切られ、
五感を働かさなければ、即死に直面することになる。
そんな絶望的な状況だからこそ、
人は人を愛さずにはいられない。
でもそれは決してハッピー・エンドにならないであろうことは
観ていて予想がつくから、余計に切なくなります。
貧困、犯罪、不法移民……。
中南米諸国の問題を切り取った映画であり、
それはこの映画の重要なポイントだと思う。
でもそれ以上に、この映画が僕に突きつけたのは
人が人を愛する悲劇、それでも人は愛さずにはいられない
という真実だったように思います。

映画の公式サイト
http://yami-hikari.com/

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2010/06/25

弟子を気遣い事故にあってしまった宮城道雄

今日は音楽家、宮城道雄の命日です。
1956年6月24日、宮城は翌日から関西方面で開催される
演奏旅行に出かけるため、夜8時30分東京発の急行『銀河』に乗りました。
お酒の好きだった宮城は車内でも日本酒を三合も飲んだ後、
トイレへ行こうと席を立ち、誤って社外に転落してしまったのです。
午前3時近くのことで、列車は愛知県の刈谷駅を通過しようとしていました。
目の不自由な宮城世話をするため、姪で同行していましたが、
彼女を気遣ったのか、起こさずに1人でトイレを済ませようとした、
その優しさ故に起こった悲劇でした。
この宮城の不幸な事件については内田百閒が短編「東海道刈谷駅」に書いていいます。
『サラサーテの盤』(ちくま文庫)に収録。

若い頃から箏を習っていた内田は、後に宮城に弟子入りします。
内田の方が5歳歳上でしたが、
互いに酒好きということもあって意気投合し、
船旅をするなど交流を深めました。
この2人が酔うと決まって聴きたくなったのが、
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲だったそうです。
今日はこの2人の師弟関係の話から始めようと思います。

また、この週末にお勧めのアート情報などお話します。

♫カポディモンテ美術館展 国立西洋美術館
http://www.nmwa.go.jp/jp/index.html

♫フェリックス・ティオリエ写真展 世田谷美術館
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/

♫アルフォンス・ミュシャ展 三鷹市美術ギャラリー
http://www.mitaka.jpn.org/gallery/

Dsc00459
Dsc00461
春に購入したバラが2度目の花を咲かせ始めました。
このバラはアサリの殻からでる栄養分でスクスク育つています。

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2010/06/24

南の島で死んだゴーギャンが最期まで筆を入れたブルターニュの雪景

「オルセー美術館展2010 ポスト印象派」との
コラボレーション企画、見て・聴いて感じる名画の魅力
“オルセーの絵画、ポスト印象派の音色”。
第7回目の今日は
ポール・ゴーギャン(1848~1903)、
と、傑作「雪のブルターニュの村」についてお話します。
また、ゴーギャンと同じようにブルターニュを愛した
サン=サーンス(1835~1921年) や
風景を音にしたジュール・マスネ(1842~1912年)の
名曲をご紹介したいと思います。
ゴーギャンと言えば、南の楽園タヒチ。
そんなイメージで語られることが多いのですが、
実は画家ゴーギャンにとってもうひとつ重要な土地があります。
それがフランス北西部、大西洋に突き出した半島にあるブルターニュでした。

この特別コーナーはポッドキャストでいつでもダウンロードできます。
ポッドキャストのタイトルは、「聴くオルセー」。

また番組後半ではゴーギャンの人生に触発された2つの小説
『月と六ペンス』(サマセット・モーム)
『楽園への道』(バルガス・リョサ)
についてご紹介します。
Photo
ポール・ゴーギャン 《雪のブルターニュの村》 1894年頃 油彩・カンヴァス
(c)RMN (Musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

オルセー美術館展2010 「ポスト印象派」
開期:~8月16日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室2E 東京都港区六本木7-22-2
開館時間:午前10時~午後6時、
金曜日は午後8時まで(入場は閉館の30分前まで)
休館日:毎週火曜日
公式サイト:
http://orsay.exhn.jp/index.html

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2010/06/23

『文豪たちの手紙の奥義』人の心を動かす言葉の力を教えてくれます

今日は『文豪たちの手紙の奥義』(中川越 新潮文庫)を紹介します。
これは夏目漱石や芥川龍之介、谷崎潤一郎など日本の文豪たち24人の
手紙を参考に、自分の想いを効果的に伝える文章、
相手のことを想う言葉について考察した読み応え十分の1冊です。
著者は冒頭に断言しています。
「文豪たちの手紙には、心を動かす力がある」
しかも文章の達人だからといって
「難しい言葉や文学的な表現を駆使して」手紙を書いているわけではなく、
「ごくありふれた日常的な言葉で、やさしく伝える」ことを心がけている、と指摘しています。
平易な名文。これが一番難しいんですよね。

この本で驚かされるのは小説や随筆では立派なことを述べている文豪も、
手紙の中では己の気持ちを素直に吐露しているという事実。
不特定多数の「あなたたち」ではなく、手紙は唯一人の「あなた」に綴る告白です。
だからこそ、書き手の人間性が行間に浮かんでくるようです。
気難しく亭主関白で知られた夏目漱石が
「頻(しき)りにお前が恋しい」と妻へ綴り、
高村光太郎は智恵子が殺人犯になった夢をみたと告白。
無頼派作家、織田作之助は結婚報告の知らせに
「遂に大デブと結婚」ととんでもない一文を添えています。
もちろん照れ隠しだとは思いますが~。
作之助の妻となった笹田和子は昭和に活躍したソプラノ歌手。
1942年にワーグナーの「ローエングリン」が
日本初演出された際、ヒロイン役でデビューしたそうです。
ちなみにこの手紙が原因なのかどうかは分かりませんが、
2人の結婚生活は長くはつづきませんでした。

この本では手紙の目的によって
家族への手紙、お知らせの手紙、お礼の手紙、借金依頼の手紙
などが紹介されていますが、
やはり最も刺激的で(ワイドショー的に)楽しめたのは
“命がけで書く「道ならぬ恋の手紙」”を集めた第四章でした。
中原中也と小林秀雄、谷崎潤一郎と佐藤春夫の例は極端過ぎるにしても、
かつての文豪たちは人の妻、あるいは恋人を奪うことに対して
それほどの罪悪感はなかったのでしょうか?
谷崎潤一郎は人妻への手紙を
「御主人様、どうぞお願いでございます~」と書き出し、
斎藤茂吉は年齢が半分にも満たない若い女性の写真を見て
いかがわしい想像をしたと本人告げています。
アララギ派の中心人物にして精神科医。
理性と良心の塊のように思われている斎藤茂吉にすら
恋は盲目という言葉が当てはまったのですね。

初めに言葉ありき。
文豪たちの人間味溢れる手紙は、そのことを改めて教えてくれました。

音楽界で「道ならぬ恋の手紙」といえば、
やっぱりヤナーチェクですね。

Dsc00452
今朝、ワイルドストロベリーの実が成りました。この実が成ると
恋人が出来る、結婚できるなどという言い伝えがあるそうです。
妻帯者の僕には無縁ですが、もしかしたら道ならぬ恋の予感?

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2010/06/22

文豪、山本周五郎も清水清と名乗っていました

ご存知のように僕の名前は変わっている。
清水清。誰だって一度で覚える。
子供の頃は意外と恥ずかしかったし、
それなのに小学校の生徒会長選挙の際、
「上から読んでも~ 下から読んでも~」
なんて大声で連呼している自分が情けなかったりもした。
ちなみに僕は次男ですが、長男は易者が立派な名前を付けています。
なんで僕だけこんな“妙な名前”なんだろう?
父親に命名の理由を尋ねると、答は2パターン用意されていた。
酔っているときの答
「中国に諸葛孔明という偉い人がいて、『出師の表』という書のなかで、
“戦に臨むときは清水を清くするような心を持て”と書いているんだ」

何とも志の高い話ではあるが諸葛孔明なんて読んだことないし、
たぶん嘘、あるいは後付けの理由だと思う。

素面のときの答
「役所に届ける前日に電話帳で探した」
次男はこれだから卑屈になるのです。
ちなみに20年ほど前、同姓同名のタクシー運転手に出会ったことがある。
彼の話では(当時)、清水清という名前の人物が東京だけで9人いたそうだ。

とまぁ、いずれにせよ僕の命名の根拠は甚だかっこ悪いものだったが、
先日、出久根達郎さんの『作家の値段』(講談社文庫)を読んでいたら、
とんでもなく嬉しい事実を知った。
なんと、文豪、山本周五郎さんには清水清という別名があったのです。
なのでこれから、人に名前の由来を聞かれたら
「父が山本周五郎さんのファンだったもので~」と答えることに
しようと思う。

Dsc00438
Dsc00443
上・今朝、桔梗の花が綺麗に咲きました。
下・サフィニアの蜜を求めてアゲハ蝶がやってきました。

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2010/06/21

『ガラパゴス化する日本』 僕らは絶滅危惧種なのか?

タイトルが気になり珍しく、経済関係の新書を読みました。
『ガラパゴス化する日本』(吉川尚宏 講談社現代新書)
という1冊です。
ガラパゴスとはダーウィンが進化論の着想を得た、南太平洋の孤島。
地理的条件から長い間、この島には外敵が侵入することがなく
多くの生物種が淘汰されずに独自の進化を遂げています。
一方、この島の固有種は生存競争力に乏しく、
19世紀になって人間とともに外来種が侵入し始めて以降、
種の存続が危ぶまれています。
そして、今の日本が直面している経済的、社会的状況が、
ガラパゴス島とそこに残された生物たちに似ているというのが、
この本の趣旨です。
戦後日本は世界に誇る技術力を駆使して
ハイスタンダードな製品を多く創り出してきました。
しかしその為に、日本国内でのみ通用し、
海外では受け入れられない製品が多くなっているそうです。
「そんなに便利で複雑な機能はいらないよ!」
というのが世界の声なんですね。
顕著な例が携帯端末です。
2008年の調査では、携帯電話の世界シェアは、
ノキア(フィンランド)が38.6%と圧倒的なシェアを占め、
続いてサムスン16.3%(韓国)、モトローラ(アメリカ)8.7%、
LG(韓国)8.4%、ソニー・エリクソン(日本・アメリカ)7.6%と続きます。
この5社で世界のほぼ80%のシェアを保有しているのです。
そして純粋な日本企業は10%を8社で分け合っている状態です。
つまり多くの日本人が便利だと思っている携帯電話は世界基準ではないのです。
これは一例であり、あらゆるジャンルで日本の誇る技術が
実は世界では非標準であり、日本の産業は
ガラパゴスの動植物にように完全に孤立しているそう。
さらに著者はこのガラパゴス化が産業のみならず、
日本と言う国家、日本人そのものにも顕著だと指摘し、
実例を挙げていきます。
経済書なので文章は無味乾燥、
何でもかんでもガラパゴスに関連付ける論説には
やや苛立ちを覚えないこともないですが、
日本が置かれた現状の一面を理解するのは役立つ1冊でした。
まぁ、しかし日本で一番ガラパゴス化しているのは、
マスコミ社会のような気もしますけどね。

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2010/06/18

ブータンには青い熊がいるそうです?

編集者時代の知人であるカメラマン甲斐裕司さんが写真集を出版した。
タイトルは『BHUTAN Dreams of the Blue Bear』(講談社)。
“青い熊”とはブータンに棲息している幻の野生動物のことであり、
「彼ら」の棲息地域はサンクチュアリに指定されているそうです。
それにしても控えめな写真集です。
表紙の写真は「石ころ」。
ブータンだったら、チベット仏教の僧侶や色鮮やかな民族衣装など、
イメージが湧きやすい写真を選ぶのかと思いきや、
世界中、あるはご近所の河原にもころがっているような
ただの「石ころ」「砂利道」なんです。
タイトルやクレジットも白抜き文字が小さく入っているのみ。
エッセイを寄稿している吉田修一さんの推薦文に、
唯一、編集サイドの販売意欲を感じたけど、
デザイナーとしてはあまり入れたくはなかった要素だったと思う。
ページを捲ってもこれまた控えめで静謐な写真が続く。
“ブータンらしい”写真もあるけど、
多くは森や川、空などのありふれた自然、
あるいは何気ない人々の日常を捉えた写真だ。
「なんて贅沢で我儘な写真集なんだろう」
と最初は思っていたけど、ある瞬間、僕は気付いた。
全ての写真には“青い熊”が写っているのだと。
甲斐さんは確かに、(一瞬かもしれないけど)“青い熊”をみた。
砂利道に足跡を見つけ、森に気配を感じ、人々の表情に神話を聴いたに違いない。
そう思うと、写真が僕に語りかけているような気がしてくるから不思議だ。
「青い熊がみえるのか?」と。

世の中は“ご丁寧”で溢れている。
視覚も、聴覚も(ついでに味覚も)甘やかされ過ぎている。
だからこそ、こんな控えめな写真集が
何かを語りかけているような気がする。
いつまでも書店に置いておいて欲しい。

Casejpg_2
『BHUTAN Dreams of the Blue Bear』講談社)。
定価3,000(税別)    

♫甲斐裕司さんのホームページ(こちらも控えめ)
http://www.hiroshikai.com/

♫六本木の富士フイルムフォトサロンで開催されている
アンセル・アダムスの写真展
http://fujifilmsquare.jp/

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2010/06/17

同じ女性に恋したロートレックとサティ

「オルセー美術館展2010 ポスト印象派」との
コラボレーション企画、見て・聴いて感じる名画の魅力
“オルセーの絵画、ポスト印象派の音色”。
第6回目の今日は
アンリ・ド・トゥールーズ・ロートレック(1864~1901)、
と、傑作「赤毛の女(化粧)」についてお話します。
また、ロートレックと同じ女性を愛した
エリック・サティ(1866~1925年) の名曲についてもご紹介します。
この特別コーナーはポッドキャストでいつでもダウンロードできます。
ポッドキャストのタイトルは、「聴くオルセー」。

ロートレックはキャバレー「ムーラン・ルージュ」の
ポスターをたくさん描いています。
この店の誕生秘話を描いた映画がジャン・ルノワール監督
(画家ルノワールの息子さん)の『フレンチ・カンカン』(1954年)。
映画のラストシーンでは、周る赤い風車の前を通り過ぎる
一人の紳士が登場するのですが、シルクハットに杖、
そして泥酔しているのか千鳥足で歩くその姿は、
どこかロートレックを連想させます。
ルノワール監督の粋な演出なのでしょうか?
Photo
アンリ・ド・トゥール-ズ=ロートレック 《赤毛の女(化粧)》 1889年 油彩・厚紙
(c)RMN (Musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

オルセー美術館展2010 「ポスト印象派」
開期:~8月16日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室2E 東京都港区六本木7-22-2
開館時間:午前10時~午後6時、
金曜日は午後8時まで(入場は閉館の30分前まで)
休館日:毎週火曜日
公式サイト:
http://orsay.exhn.jp/index.html

P6170004
ロートレックの母親が一時所有していたボルドーのワイナリー
「シャトー・マルロメ」(彼はこの地で亡くなっています)。
現在、オーナーは変わっていますが
ラベルにはロートレックの写真が印刷されています。
赤、白共に1本2,000円前後。

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2010/06/16

フォーレとデュリュフレの『レクイエム』を聴き比べてください

蒸し暑いですね。
淀んだ空気が肌にまとわりついて、
粘液に変わっていくような、そんな天気です。
そこで今日は涼しげな合唱曲をたくさんオンエアして、
ひんやりとした風をお届けできればと思います。
まずは、最近自宅で毎日聴いている
シューマン作曲、女声のための合唱曲『ロマンス1 作品69』。
シューマンは1848年、ドレスデンで混声合唱団を結成し、
コーラス曲をいくつか作曲していますが、
『ロマンス1』はそのなかでも特に美しい旋律だと思います。
(でも何故か目立たない)。
そして、今日が命日であるフランスの作曲家
モーリス・デュリュフレ(1986年6月16日没)の
『レクイエム』もなるべくたくさんオンエアします。
デュリュフレは大先輩フォーレと同じテキストを用いて
『レクイエム』に挑みました。
2人に共通しているのは、それまでのレクイエムには
必ず含まれていた「怒りの日(ディエス・イレ)」を省いたこと。
「怒りの日」とはキリスト教の終末思想の一つ。
世界の終末の日に神の裁きが下され、
天国に行けるものと地獄に落ちるものが
分けられる、という教えです。
当然ながら、曲調も激しいものになりがちで、
モーツァルトやヴェルディの「怒りの日」にも
かなり怖い旋律が含まれていました。
でもフォーレは「レクイエムは静かな音楽であるべき」と考え、
「怒りの日」の歌詞を取り除いたのです。
デュリュフレも先輩に倣いました。
なお、1960年代に開催された第二バチカン公会議において、
レクイエム・ミサにおける「怒りの日」は廃止されました。
救済の宗教であるキリスト教本来の教えとはかけ離れているから、
というのがその理由ですが、
フォーレとデュリュフレの“優しい” 『レクイエム』が人気を
呼んだことも、何かしら関係しているかもしれませんね(無いか?)

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2010/06/15

シューマンについて勘違いしていたこと

1週間遅れ(1810年6月8日生まれ)、
さらにグリーグの生誕記念日(1843年)ですが、
今日はシューマンのことをブログに書きます。
というよりシューマンについて僕が誤解し、
そのまま皆さんにお話していたことがあったので
ここで2点ほど新たに知った史実を記させていただきます。

誤解その1
「シューマンはパガニーニの演奏を聴いたがために、
無理な練習をして指を痛めた」

悪魔に魂を売った、とさえ恐れられた超絶技巧で知られる
パガニーニの演奏を聴いたシューマンは
「ピアノのパガニーニになる!」と決心し、
奇妙な道具を使って無理な練習をしたがために指を痛めて
ピアニストとして挫折した(梅毒説もあり)。
そう思っていたし番組でもそう話していました。
しかし、『音楽と文学の対位法』(青柳いづみこ 中公文庫)の
74ページに書かれていることが正しいとするならば、
シューマンが無理な練習を続けた結果、
右手薬指の麻痺を自覚しそれを日記に記したのは
1830年1月26日。
そしてパガニーニの演奏を聴いたのはその年の4月のことでした。
つまり、シューマンの指はパガニーニに出会う以前に
壊れはじめていたということになります。
もちろん、パガニーニに刺激され無理、無茶な練習に
益々励んだシューマンの姿というのは
容易に想像できるのではないでしょうか。

誤解その2
「シューマン亡きあと、
妻クララは夫の曲を積極的に演奏し普及に努めた」

夫より知名度も収入も高かったクララの良妻賢母なイメージを
決定的にする逸話ですし、夫婦愛を描いた映画『愛の調べ』(1947年)にも
そんなシーンがありました。
しかし、これも青柳いづみこさんの著作
『モノ書きピアニストはお尻が痛い』(文春文庫)によれば誇大広告。
確かにクララは仲間内の演奏家では夫の曲を弾きましたが、
自分のリサイタルではあまり弾こうとしなかったそうです。
シューマンの曲が難解で聴衆に理解しにくいというのが理由だったようです。
確かにシューマン自身、自分の曲が地味であることは認めていましたが~
(詳しくは同書104ページをご覧ください)。

今紹介した2つの史実はあくまで青柳さんの見解であり、
僕の読み違えかもしれません。
ただし、遠い昔、海の向こうで起こった出来事については
まだまだ誤解、曲解された“つくり話”がたくさんあるような
気がします。

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2010/06/14

『やんごとなき読者』が暴いたイギリス王室の秘密?

週末に読んだ1冊が
『やんごとなき読者』(アラン・ベネット=著 市川恵里=訳 白水社)
イギリスの女王エリザベス2世が(1926年~)が
ある日を境に読書に夢中になってしまい、
周囲を慌てさせるというユーモア小説です。
ロイヤルをパロディにしてしまうという、
イギリスならではの作品ではないでしょうか
(日本ではちょっと成立しにくい内容です)。
読書に目覚めた女王は公務の間も読書に夢中。
しかも一度読み始めた本は例えつまらないと感じても
最後まで見捨ててはいけないのです。
全ての家臣、人民に対して平等でなければならないのと
同じように、本にも好き嫌いがあってはいけない!
やがて女王は気にいった文章を書き写し、
自分自身の考えを明晰な言葉で綴っていくようになります。
世界で最も多くの場所を訪ね、
全てが思い通りになる立場なのに、
何故、紙の上の世界にこうも心が揺さぶられるのか、
女王は80歳近くになって、もうひとつの世界に目覚めていくのです。
しかし、そんな女王の心の変化を周囲の人間は理解できず、
アルツハイマー病を疑い、
女王に読書のアドヴァイスをする“邪魔者”を排除してしまいます。
でも、読書によって新しい自分、新しい世界を自覚した女王は、
大胆な行動を考えだし、それを予感させる結末となっています。

読書に夢中になる女王。
何だかごく普通のことのように思えるのですが、
高貴な方=知識人、という図式は極めて日本人的感覚であり、
イギリスでは事情が異なるらしいです。
イギリスの上流階級には「あまり知的ではない」
というイメージが定着しているそうなんですね。
もちろん彼らは紳士淑女なるための教育は受けていますが、
それと知識を詰め込むための教育は別物であり、
ものを知らないことこそ「美徳」であるという、
風習があったとのこと。
一緒懸命勉強して国の発展のために寄与するのは、
下々の者に任せればいいという発想なんでしょうか。
かつて国家のためにスパイ活動をしたイアン・フレミングは
その経験を元に007を生み出し、
王室の専属騎手だったデック・フランシスは
大ミステリー作家となりました。
文章を書くなんて“暇なこと”は家臣がやってくれたんですね。

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2010/06/11

明日から「生誕80年 開高健の世界」展開催

明日12日から県立神奈川近代文学館で
「生誕80年 開高健の世界」展が開催されます。
2000年以降に発掘された多くの新資料を中心に、
広報資料によればこの展覧会の趣旨は以下の通り。
“常に外へと向かう旺盛な活動の中で
小説、エッセイ、ルポルタージュなど多彩な執筆を行いながら、
世界の様々な事象の核心を捉えて作品に刻み込んだ開高健の軌跡を、
編年体による展観であらためて見つめ直す”
ということで、今日は開高さんとお酒のエピソードについて
いくつかお話します。
展覧会ホームページ
http://www.kanabun.or.jp/te0524.html

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2010/06/10

闇に鳴くフクロウを愛したルドンの孤独

「オルセー美術館展2010 ポスト印象派」とのコラボレーション企画、見て・聴いて感じる名画の魅力 “オルセーの絵画、ポスト印象派の音色”。第5回目の今日は、オディロン・ルドン(1840~1916)と、傑作「目を閉じて」についてお話します。また、ルドンと親交があった エルネスト・ショーソン(1855~1899年) の名曲についてもご紹介します。 この特別コーナーはポッドキャストでいつでもダウンロードできます。ポッドキャストのタイトルは、「聴くオルセー」。 同世代のセザンヌやモネ、ルノワールらが、 自然や人間を観察し、外の世界を描こうとしたのに対し、 ルドンは「目を閉じて」ひたすら心の内面、精神の闇を描こうとしました。 「印象派の画家たちは実り多き土地に種をまく人々ではない」 と語ったルドン。 彼は20世紀絵画のために、どんな種をまいたのでしょうか。 そしてルドンとショーソンが共に大好きだったのがワーグナー。 この2人のワグネリアンぶり、についても少しお話します。

Photo_5

モーリス・ドニ《セザンヌ礼賛》1900年 油彩・カンヴァス

(c)RMN (Musee d'Orsay) / Herve Lewandowski / distributed by AMF

Photo_6

オディロン・ルドン 《目を閉じて》1890年 油彩・厚紙に貼り付けたカンヴァス

  (c)RMN (Musee d'Orsay) / Herve Lewandowski / distributed by AMF

オルセー美術館展2010 「ポスト印象派」

開期:~8月16日(月)

会場:国立新美術館 企画展示室2E 東京都港区六本木7-22-2
開館時間:午前10時~午後6時、
金曜日は午後8時まで(入場は閉館の30分前まで)
休館日:毎週火曜日
公式サイト:http://orsay.exhn.jp/index.html

2010/06/09

猪熊弦一郎さんの絵に塗り絵しました

先週末、初台のオペラシティで開催されている
『猪熊弦一郎展 いのくまさん』を観て来ました。
1902年生まれの猪熊弦一郎はパリ、ニューヨークに暮らし、
マチス、ピカソ、藤田、ポロック、ロスコなど、
当時最も熱かった芸術家と親交を持ちながら、
時代の最先端で活躍した画家でした。
さらに晩年は具象と抽象の垣根を飛び越えた
独自の画風を確立しています。
今回の企画展は詩人、谷川俊太郎さんとのコラボレーション。
会場内内に大きく書かれた谷川さんの簡潔で美しい文に導かれ、
「顔」「鳥」「猫」「色」「形」といったテーマごとに、
あたかも絵本の世界、猪熊の森?を歩いているような気持ちになります。
親子で行っても楽しいし、
大人も童心にかえることのできる、素敵な企画展ですよ。

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会場内には猪熊さんの「鳥達の隣人」(1990年)という作品の
A4版コピーが置かれていて、「塗り絵をしましょう」と書かれていました。
そこで僕も、何十年振りの塗り絵に挑戦。
我が家の色鉛筆は12色のみなのでもの足りなかったのですが、
意外と愉しかったですよ。
(本当は1人1枚なんですけど、念のため2枚もらってしまった)
『猪熊弦一郎展 いのくまさん』
http://www.operacity.jp/ag/

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2010/06/08

ユルスナールと須賀敦子

1903年6月8日、
後に女性とした初めてフランス・アカデミーの
会員に選ばれた小説家マルグリット・ユルスナールが
ブルュッセルに生まれています。
残念ながら僕はこの作品に触れたことがありません。
須賀敦子さんの『ユルスナールの靴』で名前を初めて知り、
いつか読んでみたいと思ってはいるのですが~。
須賀さん本人もユルスナールの存在を知ってから
作品を手に取るまでには長い年月が必要だったようで
「だれの周囲にも、たぶん、名前は以前から耳にしていても、
じっさいには読む機会にめぐりあうことなく、
歳月がすぎるといった作家や作品はたくさんあるだろう。
(中略)自分と本とのあいだがどうしても埋まらないのだ」
(『須賀敦子全集 第3巻』河出文庫)と書いています。
でも、いざユルスナールの足跡を知りたいと思ったら、
彼女が後半生を過ごしたアメリカまで足を延ばしてしまう、
行動力にはユルスナールと共通したものがあります。
こういう本を読んでいると、
2週間ほど旅に出たくなる衝動に駆られるので、
いまの僕には危険な1冊です。

ところで、『ユルスナールの靴』はこんな書き出しで始まります。
「きっちり足に合った靴さえあれば、
じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ」
この文章を読むたびに足元と生活を見つめてしまう今日この頃でした。

1867年6月8日に生まれた近代建築の巨匠
フランク・ロイド・ライトが手がけた「自由学園明日舘」では
毎月第三金曜日の夜、ビールを飲みながら巨匠の建築を楽しめる
夜間見学会を開催しています。
www.jiyu.jp

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2010/06/07

クリスティーヌ・ワレフスカさんの名演奏をたっぷり聴いてください

先週の土曜日、
上野学園石橋メモリアルホールで開催された、
クリスティーヌ・ワレフスカさんのリサイタルに行ってきました。
ブラームスとショパンのソナタを中心としたプログラムは
聴き応え十分。
そしてワレフスカさんしか演奏することが許されていない
恩師ボロニーニの名曲にも圧倒されました。
今日はライブ音源を含めたワレフスカさんのチエロの音色を
たっぷり聴いてください。
また今回ワレフスカさん来日のために尽力した、
アマチュア演奏家の方のこともご紹介したいと思います。

ワレフスカさんが「エコー・セレナーデ」を動画で見ることができます。

http://walevska.jp/story.html
このサイトに入りディスコグラフィーをクリックしてください。

Dsc01168
CD「クリスティーヌ・ワレフスカの芸術」 2500円
制作・発売 ミッテンヴァルト 03-5957-1512

http://homepage3.nifty.com/mittenwald/
1967年録音の復刻版。
ドビュッシーやショパンのソナタ、
ボロニーニやラヴェルの小品など盛り沢山。

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2010/06/04

「のだめ」ファン必読の新書『ボクたちクラシックつながり』

今週は、ピアニストで文筆家でもある、
青柳いづみこさんの本を2冊続けて読みました。
1冊目は『音楽と文学の対位法』(中公文庫)。
モーツァルト、シューマン、ショパン、ワーグナー、
ラヴェル、ドビュッシーなどの音楽家、
そしてハイネ、ランボー、マラルメ、ジッドなどの
文学者を俎上に乗せて、
音楽と文学の関連性を論じた本です。
知的好奇心を刺激してくれる示唆に富んだ内容ですが、
読む側(=僕)の知識不足なのでしょう、
一読しただけでは理解できないことがかなりありました。
知らない固有名詞もたくさん登場します。
再読してもう少し内容を把握できたらご紹介します。
できるか否か心配ですが。

いっぽう割と楽に読めたのが
『ボクたちクラシックつながり』(文春新書)。
『のだめカンタービレ』『神童』『ピアノの森』といった
音楽マンガを窓口に
なかなか見えにくいクラシック音楽界の実情を
分かりやすく教えてくれる内容でした。
基本的には漫画版『のだめ』を軸に話は進みます。
天才だけどめちゃくちゃな「のだめ」と
天才だけど真面目すぎる「千秋」。
対称的な2人が直面する難関を例に
楽譜通りに弾くべきか否か? 
指揮者によってオケが鳴ったり鳴らなかったりするのはなぜか?
コンクールは本当に必要なのか?
などの素朴な疑問に応えてくれます。
(近頃の)新書の傾向なのか、
非常に平易に書かれているので、『入門書』としてお勧め。
ただし、最終章「ピアニストは本当に不良債権か?」
に書かれていることはかなり重い。
“不良債権”はドラマにも登場した科白ですが、
いかにピアニスト(および演奏家)が、
経済的な重荷を背負って活動を続けているのかということを、
具体的な数字を挙げながら紹介しています。
CDはほとんど売れず、千枚プレスしても
その多くは自分で売りさばかなければならない。
コンサートもリスクを背負う自主公演は当たり前。
それなりに名前を知られているピアニストでも
現状はそう変わらないそうです。
結果、演奏だけで300万円以上の収入がある人は全体の0.05%。
ほとんど収入ゼロの演奏家が2万人はいるといいます。
(文筆家の世界も似てますけどね)。
そう教えてくれる青柳さん自身も確定申告に
「行くことができた」のは40代半ばだというから驚きです。
それでも何故、多くの人が音学家を目指し、
より高みに登ろうとするのか。
その疑問に対する答えを青柳さんは熱く語っています。

それにしても、クラシック業界に嫌気がさし
グランドピアノを湖の底に沈めて引退した
フランソワ・デュシャーブルってどんな人間なんだろう?

今日午前中、新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で開催されている
「モーリス・ユトリロ展」に行ってきたので、
その紹介も少ししたいと思います。
彼の生涯を知るとちょっと切なくなります。
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/ 

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フランネルフラワーです。
1ヶ月ほど前は花がひとつだけでしたが、
その花を摘んだら次々と咲きはじめました。

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2010/06/03

モネは言いました。「私は小鳥が歌うように描く」

「オルセー美術館展2010 ポスト印象派」との
コラボレーション企画、
見て・聴いて感じる名画の魅力
“オルセーの絵画、ポスト印象派の音色”。
第4回目の今日は、
クロード・モネ(1840~1926)と、
傑作「ノルウェー型の舟で」についてお話します。
そして、モネと親交があり絵の収集もしていた
同時代の作曲家エマニュエル・シャブリエ(1841~1894)の
名曲についてもご紹介します。

なおこの特別コーナーは
ポッドキャストでいつでもダウンロードできます。
ポッドキャストのタイトルは、「聴くオルセー」。
ぜひ、あなたなりの聴きかたで楽しんでください。
Photo_2
クロード・モネ 《ノルウェー型の舟で》 1887年頃 油彩・カンヴァス
(c)RMN (Musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

オルセー美術館展2010 「ポスト印象派」
開期:   ~8月16日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室2E 東京都港区六本木7-22-2
開館時間:午前10時~午後6時、
       金曜日は午後8時まで(入場は閉館の30分前まで)
休館日:毎週火曜日
公式サイト:
http://orsay.exhn.jp/index.html

今日はまた、モネと同郷、ル・アーヴル生まれの画家
ラウル・デュフィの生誕記念日(1877年)。
音楽を愛したデュフィの話もしますね。

♫デュフィの作品「五重奏」が展示されている美術展が
銀座のポーラ・ミュージアム・アネックスで開催中。
http://www.pola.co.jp/m-annex/exhibition/

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2010/06/02

ビストロ『マルディグラ』

昨夜は友人2人と銀座のビストロ『マルディグラ』で会食。
ここは“がっつり肉系”の店です。
メニューにも美味しそうな肉料理が並んでいました。
カジュアルな雰囲気なので
親しい人とスタミナをつけたい日にはお勧めの店かも知れません。
5000円前後のワインがもう少しあったら嬉しいです。
フレンチ系のレストランはワインが高めの価格設定ですよね。
出版社と広告代理店に勤務している友人の業界話は面白かったけど、
番組では紹介できませんね。残念。

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2010/06/01

マネの絵画を楽しむポイント

先週の金曜日に、丸の内の三菱一号館美術館で開催されている
『マネとモダン・パリ』を観てきました。
分かっていたこととはいえ、『草上の昼食』『オランピア』『鉄道』などの
代表作は展示されていなかったのは残念。
またデッサンや関係資料の展示も多く、
やや散漫な展示という印象を感じました。
でも、近代絵画の父とも呼ばれている画家の作品を
これだけまとめて観賞できる機会は貴重なものです。
そこで今日は、近刊『印象派の誕生』(吉川節子 中公新書)を参考に、
今回展示されている作品と、鑑賞のコツをお話したいと思います。
例えば、自然主義文学の巨匠にして
印象派を擁護した作家エミール・ゾラを描いた肖像画。
ここで注目したいのは描かれたゾラ本人よりも、
背後に描かれた3枚の絵、
つまりベラスケスの版画、相撲絵、そしてマネ自身の作品だったのです。
この3枚の絵を一緒に描くことで
マネは自らが目指す新しい芸術を宣言したのです。
そしてマネが「無関心」に向けた「関心」に
ついてもお話します。

本日はまた注目のコンサート情報盛り沢山でお送りします。

♫バロック音楽の奇才エンリコ・オノフリが昨年に続き再来日
29日(土曜)からチケット発売です。
http://homepage3.nifty.com/enricoonofri/

♫ガブリエル・リプキンコンサート情報
http://www.concert.co.jp/
本人のホームページ
http://www.lipkind.info/

♫スティーヴン・イッサーリスコンサート情報
http://www.kajimotomusic.com/

♫クリスティーヌ・ワレフスカのコンサート
6月5日(土) 上野学園 石橋メモリアルホール
http://walevska.jp/

♫サントリーホール ブルーローズ サロンコンサート
6月5日(土) パリの恋人たち
http://www.suntory.co.jp/suntoryhall/perform/list1006.html#P05S1

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清水清

 テニス専門誌や幻の名雑誌といわれた『バッカス』の編集を経て、『エスクァイア』日本版編集部に。4年間を副編集長、5年間を編集長として在籍し、イタリアのスローフードやバリ、日本のBAR、沖縄、アートなど自分の趣味をそのまま誌面に反映させた特集に従事する。 『エスクァイア』退職後、4ヶ月間の石垣島生活を経て、現在に至る。座右の銘は「漂えど沈まず」。

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