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2009年11月

2009/11/30

『海をゆく者』クリスマスイブの奇跡?

群馬に住む岳父から「もつっ子」なるものを送って頂いた。
豚腸とコンニャクなどが入っていて温めれば
そのままもつ煮込みになる商品です。
これが美味かった!(僕は豆腐をトッピングした)。
夜は芋焼酎が進み、翌朝はご飯をおかわり。
「もつっ子」を販売しているのは
関越自動車道赤城インター近く、
国道17号線沿いにある
「永井食堂」。
この店のもつ煮定食(590円)は
トラックの運転手さんを中心に大人気で、
遠方から食べに来る人も多いそう。
また食べたいけど、ネット注文は5個からの扱い。
「もつっ子」で検索するとヒットします。

今日は1週間遅れですが、
21日(土)に渋谷・パルコ劇場で観た
『海をゆく者』の感想など話してみようと思います。。
これはアイルランドの新進劇作家、
コナー・マクファーソンが2006年に発表したアンサンブルプレイ。
ロンドン、ブロードウェイで大ヒットし、
トニー賞3部門ノミネートをも果たしたブラック・コメディです。

アイルランド、というと“寒くて、貧しくて、妖精がいる国”という
イメージで括られることが多いし、僕もそう勘違いしていました。
しかし1990年代後半の「ケルトの虎」と呼ばれるバブル景気を経て、
驚異的な経済成長を続けているアイルランドは、
住みやすい国世界5位にランクされている豊かな国となったそうです。
しかし、そこには当然格差も生じてくるわけで、
この演劇の舞台となっているのは繁栄から取り残された
寂れた海沿いの街。
登場するのも、典型的な「負け組」である5人の中年男たち。
しかも5人とも飲んだくれ。
(作家本人がアルコール依存症を克服した過去がある)
この5人がクリスマスイブにポーカーに興じている間に、
それぞれの思い出したくない過去が蘇ってくる、という展開です。

小日向文世・平田満・浅野和之・大谷亮介・吉田鋼太郎。
演技派、実力派と呼ばれる5人の役者さんたちは
確かに素晴らしい。
僕は特に浅野さんの人物設定と演技に引き込まれました。
さらに圧巻だったのが吉田鋼太郎さんの迫力。
一番大きな声で最初から最後まで、わめき続け、
盲目という設定なのに誰よりも動き続けていた。
演技力はもちろん、その体力に脱帽です。
吉田さんはシェークスピア俳優として有名ですが、
今までその舞台を観たことはありませんでした。
これを機に吉田さん主演の舞台に足を運んでみようと思った。

5人の役者さんたち言葉の応酬に陶酔できた
約160分間。
でも、何を言いたい芝居だったのかについては、
正直、よく分からなかった。
「クリスマスイブには奇跡が起きるってことかなぁ~」
と妻と2人で首を傾げていました。
もう一度観るべきなのかも。

パルコ劇場での公演は12月8日まで。
その後、11~13日に大阪、18~19日に新潟、
22~23日に名古屋で上演されます。

♪番組では、皆さんからの推薦本を募集しています。
特に、「旅に出たくなる本」「旅先に持っていきたくなる本」
そして「ベットサイド 枕元にいつも置いておきたい本」があったら
皆で情報交換しませんか。
メールアドレスは
moderato@ottava.jp

2009/11/27

週末お勧めのアート・イベント

♫ヒマラヤの奥地ドルボからやってきた画家
テンジン・ヌルブの個展
銀座・泰明画廊  ~11月30日

♫写真家26人の作品を一堂に集めた世界巡回写真展
「SHOOT:Photography of the Moment カメラで捉えた一瞬が語ること」
渋谷・パルコファクトリー ~12月14日
http://www.parco-art.com/web/factory/shoot0911/index.php

♫著名人を題材にポップな風刺画を描くマタイアスの個展
「All about democracy」
ディーゼルデニムギャラリー青山 ~1月31日
http://www.diesel.co.jp/denimgallery/index.html

マタイアスの作品はこちらでチェックできます
http://www.mathiasuwtekenaar.be/

♫不思議な仏像写真を体験できる
ジャン・クロード・ウォーターズの写真展
永田町・丸の内ギャラリー ~12月26日
www.marunouchigallery.com

♫フランス大使館を開放してのアートイベント
「ノー・マンズ・ランド」 ~1月31日

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2009/11/26

エンリコ・オノフリ

ヨーロッパで絶大な人気を誇る
イタリア古楽界のスーパー・スター、
エンリコ・オノフリの来日コンサートが
12月9日(水)と10日(木)に
紀尾井ホールで開催されます。
彼の解釈によるモーツァルトの交響曲第40番を
CDで聴いて衝撃を受けて以来、
早く生で聴きたいと思っていたのですが、
やっと実現するのです
(残念ながら今回40番はプログラムに入ってませんが)。
そこで、今日はエンリコ・オノフリの音楽をたっぷり聴いて頂きながら、
彼のプロフィールを紹介したいと思います。

コンサートの詳細は以下の通り。
12月9日(水) 紀尾井ホール 19時開演
「四季」と「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」

12月10日(木) 紀尾井ホール 19時開演
「アリア」と「イタリアン・バロックの名曲たち」
*ソプラノに森麻季

両日とも作曲された当時の楽器を復元したオリジナル楽器で演奏します。
♪さらに詳しいことは下記のサイトで。
 本人からのメッセージも聴けます。
http://www.ints.co.jp/enrico-onofri/index.htm

♪エンリコ・オノフリの日本語のオフィシャル・サイト
http://homepage3.nifty.com/enricoonofri/

今日ご紹介するのは次の2枚のCDです。
①「モーツァルト交響曲第40番 セレナータ・ノットゥルナ」
*第一楽章の出だしから引き込まれます。DVD付き
NQCL3001

②「Vivaldi: Concerti per Violino I 'La caccia'」
フランスの「ナイーブ」というレーベル(?)が出している、
ヴィヴァルディ・エディションからの1枚。
バロック=癒し系、なんて言ってられなくなります。
ジャケットがお洒落ですよね。

http://en.naive.fr/#/work/vivaldi-concerti-per-violino-i--la-caccia-

オノフリがコンサートマスターを務める古楽グループ
「イル・ジャルディーノ・アルモニコ」の
の画像が下記で見られますよ。
http://www.youtube.com/watch?v=bHrZlpdlxp0
http://www.youtube.com/watch?v=XrycPq_HSQY&NR=1

♫不思議な仏像写真を体験できる写真展は
「丸の内ギャラリー」で開催中です。
www.marunouchigallery.com

♪番組では、皆さんからの推薦本を募集しています。
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2009/11/25

三島由紀夫が音楽を好きになれなかった理由は?

1970年の今日、
三島由紀夫が自衛隊の市ヶ谷駐屯所に立て篭もり、
割腹自殺しています。
自衛隊決起を促す最後の演説は、当初30分を予定していましたが、
野次や騒音にかき消されわずか7分で終了したそうです。
(芸術家の森村泰昌さんが三島になりきったビデオ作品があって、
非常に面白いのでチャンスがあったらぜひ観てください)。

耽美的な文体と作風で知られ、芸術を愛した三島でしたが、
音楽はどうも苦手だったようです。
彼の音楽に対する考え方が記されているのが
『小説家の休暇』(新潮文庫)というエッセイ集。
この中で三島は
「音楽をたのしむ人は、私にはうらやましく思われる。
音楽会へ行っても、私はほとんど音楽を享楽することができない。」

                                                                 (18ページ)
と告白した後、サディスティックな芸術鑑賞と
マゾヒスティックな芸術鑑賞について述べ、
自分は当然前者が好きだと断言しています。
でも、音楽と同じようにマゾヒスティックで受け身の芸術であるのに
三島は映画が大好きだったんですね。不思議です。

ところで、三島のエッセイの存在を教えてくれたのは
岡田暁生さんが書かれた『音楽の聴き方』(中公新書)という
1冊でした。本年度の吉田秀和賞受賞作品です。
この本についてもいつかご紹介したいと思います。
岡田さんが中公新書から出されている
『オペラの運命』『西洋音楽史』もお勧めですよ。

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2009/11/24

『紅ミュージアム』で知った江戸庶民のお洒落魂

青山・骨董通り沿いにある
『紅ミュージアム』へ初めて行きました。
文政8年(1825年)の創業以来、
日本の伝統的な「紅」の製法を守り続けている、
伊勢半本店が運営している小さな展示室です。
現在開催されているのは「江戸の赤」という企画展。
赤色で彩られた江戸時代の貴重な資料が展示されています。
作品数は少ないですが、江戸の粋が楽しめる、
粋なひとときを過ごせますよ。

この企画展を観ていたら
「裏優り(うらまさり)」という言葉を知りました。
着物などの表地を地味にし、
裏地には素材や色遣いで工夫を凝らす
江戸庶民のお洒落、美学なんだそうです。
江戸時代、幕府は奢侈(しゃし)禁止令を何度も出し、
庶民に贅沢を禁止させました。
そこで表は地味にして、裏地に贅を凝らす「裏優り」で
個性を発揮したそうです。
隠れた部分にこそこだわりをもつ、
人と一緒では我慢できない、
ということですね。
贅沢を禁止した幕府に対する庶民の
反骨精神の表れでもあったのです。
規制があるからこそ、個性を大事にする。
ルールあってのオリジナリティ。
それが、お洒落。
ファッションではなくスタイル、
なんだと再認識しました。

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2009/11/23

超簡単、スペアリブのマーマレード煮込み

今日の午前中、原宿を歩いていたらワムが流れていました。
「いまだにワムかよ!」「やっぱりワムなのか?」
といった感想ですね。
さて、これからのパーティシーズンにぴったりの
簡単で豪華に見える、スペアリブ料理を紹介します。
と言ってもレシピと言えるほどの手間はなく、
包丁も使いません。
でもこれ本当に美味しくて最近はまっているのです。

①スペアリブを鍋に入れ両面を焼く。
このとき慌てて動かさないでください。
肉から脂が出てきて、自然と鍋底からはがれます。

②マーマレード1瓶、その空き瓶の半分量の日本酒、半分量の醤油を
鍋に入れて肉を煮込む。

③好みでローーズマリーを入れてもいいです。
ときどき肉をひっくりかえしてください。
15分ほど煮込んで煮汁にトロミがついてきたら完成です。
トロトロの煮汁が好きな人は肉を取り出してから、
さらに煮込んでください。
一晩おいた方が美味しくなる気がします。
オーブントースターで表面を焼いてもいいですよ。

余った煮汁に豚ロースやバラを付けておくと、
これまたすぐ料理に使えます。
我が家では3回ほど使いまわしします。

大皿にレタスなどをひき、ミニトマトなんか添えれば
立派なおもてなし料理になります。
ぜひ試してみてください。

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2009/11/20

音楽の守護聖人、聖セシリア

11月22日は音楽の守護聖人である聖セシリアの祝祭日。
彼女を讃えた曲が世界中の教会やコンサートホールで奏でられると思います。
セシリア、イタリア語ではチェチーリア、フランス語ではセシル、あるいはセシール。
その他、多くの国で女性の名前として使われている、人気の高い聖人です。
彼女の生涯については不明な点が多いのですが、次のような言い伝えが残されています。

セシリアはローマ貴族階級のキリスト教徒だったが、異教徒と結婚させられることになった。
しかし彼女は夫になる男と彼の兄を説得してキリスト教に改宗させる。
そのため2人の男性は異教徒によって処刑されてしまう。
そしてセシリアも死刑を宣告される。
その方法は浴室での窒息死という残忍なものだった。
しかし、セシリアは熱と蒸気に耐えて死ななかったため、
今度は3度も首を切られ、3日間も生きながらえた後、息絶えた。
その日が西暦230年の11月22日だったと伝えられているのですが、
何故彼女が音楽の守護聖人になったのかといえば、
異教徒との結婚式の日、祝いの音楽が奏でられている中で
彼女だけは音楽に耳を傾けず「自分の心のなかで」賛美歌を歌っていたからです。
またキリスト教徒に改宗した彼女の夫の前に、
素晴らしい音楽を奏でる天使が現れた、という伝説もあります。
やがて、彼女の自宅の跡地にサンタ・チェチーリア教会が建設されました。
16世紀になると世界で最も古い音楽教育機関の一つ
サンタ・チェチーリア音楽院が創設されています。

今日は音楽の守護聖人にまつわる曲を多めにオンエアしながら、
宗教改革とクラシックに関する話も少ししてみたいと考えています。

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2009/11/19

『十二人の怒れる男』

昨夜、文化村シアターコクーンで
『十二人の怒れる男』を観てきました。
1957年の映画化以来、これまで何度も
リバイバル、オマージュの作品が
作られてきた普遍的な名作です。
長いテーブルを囲んで12人の男たちが、
ひたすら議論を交わすだけのアンサンブルプレイ。
演出家の蜷川幸雄さん自らも
「演出を不要とする作品」と語っているように、
創る側も、受け取る側の観客にも重い作品だったはずですが、
その重さが何とも心地よかったです。
とくに中井貴一さんと西岡徳馬さんの
バトルは圧巻でした。

ヘンリー・フォンダ主演の映画や中原俊監督の映画を観た頃、
陪審員制度など、日本では遠い他人事でした。
だからこそ、フィクションとして楽しむことができました。
でも今は状況が大きく変わっています。
新たな現代劇として再演を続けて欲しいと思います。

それにしても、男たちは何に怒っているのだろうか?
陪審員に選ばれてしまったという理不尽さに対してなのか。
密室から解放されないという状況に対してなのか。。
あるいは、どんなに思考し、議論を尽くしても
真実を解明することができないという諦めに対してなのだろうか。
人が人を裁くことの恐ろしさ、
そこに怒りを感じてしまうのだろうか?

今日はこの芝居の話から番組を初めてみたいと思います。

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2009/11/18

『シリアの花嫁』

今日は15時頃から
Obama Speech TOKYO   Classic MIX by OTTAVA
をオンエアします。

昨夜はレンタルDVDで『シリアの花嫁』を観ました。
この春、岩波ホールで単館上映されていた作品で
気になってはいたのですが、
どうも岩波ホールが苦手で足が向かなかったのです。

舞台は中東のゴラン高原。
もともとシリアの領土でしたが、
1967年の第3次中東戦争でイスラエルに占領され、
現在に至っているという複雑な歴史があり、
現在もけして穏やかとは言い難い地域です。
(日本政府も自衛隊部隊を派遣しています)。

イスラエルはシリア系の住民にイスラエルの国籍を
取得するよう呼びかけていますが、
応じない人々は無国籍状態に置かれています。
シリアとゴラン高原の境界線は鉄条網と地雷原で隔てられ、
自由に行き来できません。
人々は「叫びの丘」と呼ばれる場所に拡声器を握って立ち、
向こう側にいる肉親と、近況や無事を確認し合うのです。

映画はこのゴラン高原に住からシリアに嫁いでいく花嫁と、
その家族の1日を描いています。
晴れの日なのに浮かない表情の花嫁。
それもそのはず。
境界線を越えたらもう二度と故郷には戻れない、
家族に会えない、
という不安が彼女を憂鬱にさせているのです。
そして彼女の家族もそれぞれに複雑な事情を抱えています。
イスラム教ドゥルーズ派の教えを頑なに守る父親はシリア支持者。
イスラエル警察に逮捕されたこともあり、
自分の娘を国境まで送っていくことも許されません。
ロシア人女性と結婚したため勘当されてしまった長男。
イタリアで怪しげな商売をしているプレイボーイの次男。
夫との生活に疲れイスラエルの大学で学びたいと考えている長女。
政治同様に複雑な人間関係が描かれる中、
いよいよ花嫁が嫁いでいくシーンを迎えるのですが~。

この映画はかなりお勧めですよ。

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2009/11/17

『イルカと墜落』

沢木耕太郎さんの『イルカと墜落』が
文春文庫より発売されました(単行本は2002年)。
九死に一生を得たブラジルでの墜落事故の顛末を綴った1冊。
昨夜、2時間ほどで一気に読破。
「気障な文章だけど、やっぱり引き込まれてしまう」
そんな“沢木ワールド”は健在でしたね。

事故が起きたのは2001年の9月
ニューヨーク同時多発テロから10日ほどが経っていました。
テレビ番組取材中の沢木さんを乗せたセスナ機は、
ブラジル郊外で不時着。
幸い乗員全員は軽傷で済みましたが、
機体は真っ二つに折れ、
「死者はもとより重傷者さえ出なかったのは奇跡」
といわれたほどの惨事でした。
死と直面した恐怖感、怠惰なパイロットへの怒り、
運ばれた病院で覚えた苛立ち、
そんな複雑な感情を淡々と綴っているのですが、
そこに沢木さんならではの“ダンディズム”が感じられます。
「死とは、少なくとも僕にとっては、ただそこにあるだけのものだ、」
                          (201ページ)
そんな文章かける作家はいま、沢木さんしかいないような気もします。
ファンの方は必読ですね。

ところで、沢木さんがブラジルへ行ったのは、
「インディオの救世主」と呼ばれるシドニー・ポスエロ
という人物を取材し番組を制作するため。
その顛末を記した担当ディレクターの文書が巻末に掲載されていて、
こちらもまさしく“沢木ワールド”です。

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2009/11/16

『日本イタリア料理事始め 堀川春子の90年』

今日は『日本イタリア料理事始め 堀川春子の90年』
(土田美登世=著 小学館)という新刊をご紹介します。
これは15歳でローマに渡り、帰国後、日本初の女性イタリア料理人となった
堀川春子さんの生涯と、
彼女の努力により日本にイタリア料理が普及していく過程を描いた1冊です。
堀川さんは1932年、15歳のとき通訳官付きのメイドとして
ムッソリーニ政権下のイタリアに渡りました。
初めて口にした「赤いおうどん」つまり
トマトソースのスパゲッティとの出会いが彼女の運命を大きく変えます。
約5年のイタリア滞在で料理の基本、
会話を楽しみながら食事をするイタリアのマナー、
あるいはオペラなどの異文化を吸収した堀川さんは
帰国後、イタリア料理の紹介と普及に奔走します。
イタリア大使館で10年間料理の腕をふるい、
その後は日本に本格的なリストランテを開店させたり、
「イタリア料理研究会」を発足させて料理人の研鑽を見守り、
料理留学の橋渡しにも奔走するなど、
まさにイタリア料理のために一生を捧げた女性でした。
ティラミスやパンナコッタを日本に広めたのも堀川さんです。

レシピは分かっていても食材が入手できない時代でした。
満足できるオリーブオイルを手に入れることも難しく、
エスプレッソマシンもまだなかったのです。
茹でたてパスタを提供しようとすれば「遅い」と苦情を言われ、
しかも音をたてて食べられてしまう。
80年代になってもまだ日本人とイタリア料理の関係は希薄だったのです。
そんななか、イタリアのマンマの味を日本に広めるため、
91歳で亡くなる直前までパスタを茹で続けた堀川さんのことを
忘れてならないのは料理関係者だけではないはず。

ただ、残念ながら周辺取材が十分でなく、
堀川春子という人物の深淵を描きだせていないという不満は残りました。
堀川さんを軸としたイタリア料理の歴史を
きちんと紡いだ本の出版が望まれます。

2009/11/13

『海をゆく者』

何だか、とっても面白そうな舞台『海をゆく者』が
来週から渋谷のパルコ劇場で上演されます。
11日(水)の読売新聞夕刊に紹介記事が掲載されていたのですが、
「これは絶対に観たい! 観るべき!」と確信して
チケットを購入しました。
何でそんなに期待したかといえば、
50歳代の実力派俳優5人の共演という渋い顔合わせ。
さらにクリスマスイブの夜に男たちだけでポーカーに興じるという、
これまた渋い状況設定。
この渋い×2がとても魅力的なんですね。
しかしチケットを購入した後に気付いたのですが、
来週はもう1本『十二人の怒れる男』(シアターコクーン)も
観ることになっていて、
つまり「17人の男」を舞台の上に観るわけで、
渋い1週間になりそうです。

♫『海をゆく者』
11月16日~12月8日 パルコ劇場
http://www.parco-play.com/web/play/seafarer/

♫伊勢半本店「紅ミュージアム」で開催中の『江戸の赤』
http://www.isehan.co.jp/museum/

♫毎年恒例「アッティコ」のクリスマスパーティは
12月12日(土)の開催です。
https://www.attico.net/

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2009/11/12

『印象派はこうして世界を征服した』チャトウィンがサザビーズを辞めた理由

今日は『印象派はこうして世界を征服した』
(フィリップ・フック=著 中山ゆかり=訳 白水社)
という新刊本を紹介します。
“競売人(オークショニア)が明かす美術史の舞台裏”
そんな宣伝コピーにもあるように
何故、世界中の人々が印象派絵画を愛するのか。
何故、1枚の絵画を巡って巨額の富が動くのか。
その謎に迫った本です。
著者はオークション会社サザビーズの
印象派&近代美術部門のシニア・ディレクターであり、
30年にわたり美術界で活動し、
世界中のお金持ちに印象派絵画を売りさばいてきた人物。
その経験と知識から20世紀の美術史とその背景にある
国際関係、政治状況、お国柄をわかりやすく、
ときに皮肉を込めて解き明かしてくれます。
面白いのは印象派が誕生した初期の頃、
国によって受け止め方が異なっていたという事実。
一番最初に受け入れたのはアメリカでした。
ヘミングウェイに代表されるように
彼らはフランス文化、パリの雰囲気に強い憧れを抱いていたのが一番の理由。
独立戦争の際にフランスが味方してくれたという歴史的事実も関係しているのでしょう。
一方、フランスと何度も争ってきたドイツやイギリスでは
複雑な事情があったようです。

この本の中に2人の作家の不思議な(そしてやや不気味な)縁が紹介されていました。
登場するのはサマセット・モームとブルース・チャトウィン。
ゴーギャンの生涯をもとにした小説『月と六ペンス』で知られる
イギリスの文豪サマセット・モーム(1874~1965年)は
印象派絵画のコレクターでありました。
事件は1962年、88歳になっていたモームが絵を競売にかけるため
ロンドンのホテルに滞在していたときに起こります。
到着後、歯痛に悩まされた彼は気が変わって、
絵画を手元に残しておくとサザビーズの担当者に告げます。
モームは気難しく、付き合いにくい人間であったようです。
困った競売人は一人の青年にモームの部屋を訪ねるよう指示。
その青年こそが22歳のブルース・チャトウィン(1940~1989年)だったのです。
のちに『パタゴニア』などの紀行文を残したチャトウィンは
高校卒業後サザビーズで働いていたんですね。
18歳でピカソの贋作を見破ったという逸話が残されています。
そして彼はかなりハンサムで魅力的な若者でした。
彼の容姿についてスーザン・ソンタグが語った文書が掲載されています。
「彼を見るだけで、本当に素晴らしい気持ちになったわ。
ただ綺麗なだけではなく、炎のような輝く何かが彼の瞳にはあった。
そして彼のその魔法の力は、どちらの性別にも効いたのよ」

                               (216ページより抜粋)

どちらの性別にも効いた。

そうモームは同性愛者でありチャトウィンは
“人身御供”として差し出されたのです。
その日、ホテルの一室で2人の間(祖父と孫ほどの年齢差)に
何があったのかは想像するしかありません。
サザビーズはモームのコレクションを無事手に入れ、
チャトウィンはサザビーズを退職する決意をした。
その2つの事実のみが語られています。

2009/11/11

第一次世界大戦と音楽家たち

1918年の今日、第一次世界大戦が終結しています。
ヨーロッパを主戦場に25カ国が参戦し
2000万に近い死者と2000万人を超える負傷者を
出した戦争が終わったのです。
今日は、この4年に及ぶ戦争と音楽史の関係、
音楽家とのかかわりなどをお話してみたいと思います。
戦場で傷を負ったクライスラー、多くの友人を失ったラヴェル、
終戦前に他界したドビュッシー、
古典交響曲でアンチ・ロマン派を宣言すると共に
亡命を決意したプロコフィエフ……。
音楽を取り巻く環境が大きく変わっていくなかで、
シェーンベルクなどの新ウィーン楽派が
新しい音を作り出していった時代でもあったのです。

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2009/11/10

作詞ランボー、作曲ブリテンの『イリュミナシオン』

1891年の今日、
詩人アルチュール・ランボーが37歳の若さで他界しました。
彼の詩を愛読しているわけではありませんが、
ランボーと聞いて、思い出すのは
何と言ってもサントリーローヤルのCMです。
砂漠の中を歩く異様な形相の人々、
火を吹く男、道化、タンバリンを叩く小人、そしてイグアナ。
フェリーニ映画のワンシーンのような映像。

「その詩人は底知れぬ渇きを抱えて放浪を繰り返した。
永遠の詩人ランボオ。あんな男、ちょっといない。」
こんなナレーションにもしびれました。
1982年の作品ですが、少しも色褪せていません。
動画はこちらで確認できます。
http://www.youtube.com/watch?v=YotCl8xcRtk&NR=1

マーラー「大地の歌」編もカッコいいですよ
http://www.youtube.com/watch?v=voZHTps4PSk

ランボーといえばヴェルレーヌ、マラメルと共に
19世紀末のフランスを代表する詩人としてしられていますが、
他の2人の詩がドビュッシーやフォーレ、ラヴェルらによって
取り上げられているのに対し、
ランボーと音楽の結び付きはいまひとつ思い浮かびませんでした。
でも、あったんですね。
恥ずかしながら昨日発見しました。
20世紀のイギリスを代表する作曲家の一人、
ベンジャミン・ブリテンの『イリュミナシオン』です。
『イリュミナシオン』はランボーが最後に残した散文詩集であり、
この詩を書いた後、ランボーは文学をあっさりと放棄して
放浪生活に入りました。
まだ20歳そこそこの若さでした。
この詩は『ランボー詩集』(堀口大學=訳 新潮文庫)の中に
収められているので、昨夜慌てて購入し読んでみましたが
正直良くわかりません。
週末に、ウイスキーでも飲みながらじっくり読むことにします。

で、オッターヴァに『イリュミナシオン』を収録したCDが
あったので、急ぎアーカイヴに入れてもらいました。
今日はオンエアするのはもちろん、僕が聴くのも初めてな
この(たぶん)美しい曲をたっぷり楽しんでいただきたいと思います。
でも完全見切り発車です。どうなることやら。

♪番組では、皆さんからの推薦本を募集しています。
特に、「旅に出たくなる本」「旅先に持っていきたくなる本」
そして「ベットサイド 枕元にいつも置いておきたい本」があったら
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2009/11/09

石垣島から届いた「島ばななケーキ」

4年前、石垣島でリタイア生活をしていた頃、
よく通っていた店が『Banana Cafe』。
アルコール度数35°以上の泡盛をシェイクして
キンキンに冷やしたカクテル(?)をよく飲んでいました。
カレーも美味しかったなぁ~。

(かなり曖昧になってきた記憶によれば)
店主の長谷部さんは、
フレンチのシェフだった経験があり、
筋金入りのダイバーでもあります。
豪華客船の厨房で働きながら空き時間に潜る、
という誠に羨ましい生活をしていたこともある(と思う)。

『バナナ・カフェ』という
愛らしい店名からも分かるように
長谷部さんはバナナが大好きで
特に石垣の島バナナに惚れこんでいる。
そしてこの度、石垣島の完熟島バナナを100%使用した
「島ばななケーキ」を試行錯誤の末に完成させ販売を始めました。
沖縄や奄美で作られる島バナナは
一般的なバナナと比べると少し小さめ。
でも非常に濃厚な甘さと、爽やかな酸味が特徴的です。
長谷部さんは島バナナの特徴を生かすため
フランスの伝統的なケーキ「キャトルカール」を基にした
シンプルなパウンドケーキを考案。
石垣産の島バナナ(約10本分)を生地に練りこみ、
パッションフルーツジュースをアクセントに用いて
奥行きのあるしっとりとした仕上がりを目指しました。

さっそく注文して週末に食べました。
切ると確かにバナナペーストがたっぷり使われていることが
見た目にも分かります。
でもちょうどいい甘さと香りであり、
普段あまり甘いものを食べない僕も
妻と二人、1日で食べきってしまいました。
昼はコーヒー、夜はシャンパンと合わせたけど、
甘いデザートワインとの相性もいいかも知れませんね。
もう1本あるので次の週末の楽しみです。
(賞味期間は未開封で2週間ほど)。

石垣発のスローフード「島ばななケーキ」
新しくて、どこか懐かしい味わいです!
ネット注文はホームページから。
http://banana-cafe.shop-pro.jp/

Pb070217

*僕が撮影したので、あまり美しくないですね。
ミントは我が家の“私物です”

*週末はおめでたいことがあったので、
やや贅沢なシャンパンとワイン、
そして「島ばななケーキ」で祝いました。
そんなワインの話も今日しようと思います。

Pb080225_2

2009/11/06

イタリアの鉄道網がどんどん便利になる

日伊文化交流サロン「アッティコ」の代表で
ローマ在住の村本幸枝さんから届いたメールを御紹介します。
近々、イタリアへ行く予定の方、鉄道の旅もいいですよね。

イタリアは今、どんどん鉄道網が発達しています。
一時アリタリア航空の存続が危ぶまれたこと、
空港~市内間の移動時間がかかること、さらに、
国内線でも1時間前には空港に行く必要があることを
考えると電車の方が安くて便利と、
みんなが考えるようになったからでしょう。
Frecciarossa (フレッチャロッサ/赤い矢)という名の
ユーロスター超特急 (ES Alita Velocita') が登場し、
ローマ~ミラノ間が3時間半で往復できるようになったのは
約1年前のことでした。
その後、ユーロスター専用線路の増設は続き、
今年12月13日にはミラノ~トリノ間で『フレッチャロッサ』が
開通することでローマからトリノへのアクセスも
飛躍的に便利になるようです。
これによりミラノ~トリノ間は1時間で、
トリノからフィレンツェまでは2時間45分で
移動できるようになります。
また、1日12本運行される予定の『フレッチャロッサ』の
内数本はローマ→ミラノ→トリノの3駅のみ停車するビジネス線になる模様。
ローマからトリノへのビジネス線の所要時間は4時間10分。
開通に伴い、初日(12月13日)の最初の2本の電車はチケットが
所要時間と同じ4.10ユーロと、驚きの料金で発売されるようです。
その他来年2月にかけて様々なキャンペーンを予定しているよう。
この時期イタリアへ行かれる方は要チェックです!

イタリアの電車チケットは下記の国鉄(FS)のホームページで
購入、変更が可能です。
事前に登録する必要はあるのでちょっと面倒ですが、
このサービスはカード決済だしかなり便利。
私もおおいに活用しています。

http://www.ferroviedellostato.it/

「アッティコ」では1回ずつ参加できる単発のイタリア語講座を
初め様々な語学教室、あるいは料理教室、イベントなどを開催しています。
詳細はホームページで
http://www.attico.net

♪11月9日(月)より4日間、六本木umuにて、
マイケル・ジャクソンの私物46品の展示会が行われます。
展示されるのはこの21日にニューヨークで開催される
プライベート・オークションに出品される、貴重な私物ばかり。
夜22時まで入場可能なので、仕事帰りにも寄れますね。
なお、前売り券を購入すると、オリジナルポストカード(非売品)が貰えるそうです。
詳細は以下のサイトで
http://www.mj46.jp/

♪先日お話した蜷川幸雄さん演出の「十二人の怒れる男」の追加チケットが
本日から発売されています。売り切れ必至、急げ!
詳細は以下のサイトで
http://eplus.jp/12nin/

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2009/11/05

ホロヴィッツ、たっぷり聴いてください

今日はウラジーミル・ホロヴィッツ没後20年の日。
オッターヴァのアーカイヴからこの名人の名演奏を
できるだけ多くオンエアしようと思います。
ホロヴィッツといえば1983年、79歳のときに初来日し、
その演奏を吉田秀和さんから
「ひびの入った骨董品」と酷評されたエピソードが有名ですよね。
これはコンサートの前半終了時に受けた「入場料の高さをどう思うか?」
というインタビューに答えた発言でした。
コンサートの入場料は平均4万円、当時の大卒初任給の約3分の1。
現在の価値にすれば6~7万円になり、
贅沢オペラ並みかそれ以上ということになります。
(ステージに立ったのはホロヴィッツ一人)。
この高さに対しての吉田さんの感想であり、
当時を振り返り、吉田さんはこう語っています。

これだけの名人になれば、骨董と同じで、
本当に欲しいと思えばいくらだって払う人はいるでしょう。
ただしちょっと傷があるから、考える人は考えるだろうと思うと、
そういうことを言うつもりだったんです。

雑誌『考える人』(新潮社 2007年夏号 41ページより抜粋)

実際、ホロヴィッツもこの日の演奏には満足していなかったようで、
吉田さんの発言に対し「あのリストみたいな髪をした男は本当のことを言っている」と
認めたそうです。

86年、ホロヴィッツは再来日。
その感想を記したエッセイを吉田さんは次のような一文で締め括っています。

この人が先年の不調を自分でもはっきり認めて、
なんとかして自分の真の姿の記憶を残しておきたいと考えて、
遠路はるばる再訪してくれたことに、
心から感謝せずにいられない。

吉田秀和著『世界のピアニスト』(ちくま文庫 313ページより抜粋)

ホロヴィッツが亡くなる3年ほど前のことでした。

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2009/11/04

『寺よ、変われ』 僕らは変われるのか?

昨夜、オリオン座を見つけました。
いよいよ本格的な冬の訪れですね。

今日は『寺よ、変われ』(高橋卓志=著 岩波新書)
という新書の紹介です。
「寺よ、変われ」
何とストレートでインパクトのあるタイトルでしょうか。
そう願い、ときに呆れ、怒り、諦めている人は
僕も含めて多いはずです。
著者は現役の住職(臨済宗)。
内部告発の書でもあります。
迷わず購入し、昨夜一気に読みました。

「日本の寺はいまや瀕死状態にある」
「いまのままでは、住職の役割などないとされる」
と断言する著者。
その原因は社会状況の変化と、
それに対応できない僧侶にあると分析しています。
“葬式仏教”と揶揄されてきたのに
葬儀社主導の葬式を選ぶ人が増えることにより
「葬式も満足に勤めることができない坊さん」が増えているといいます。
(近い将来、お寺、僧侶の大リストラが起こるという新聞記事を思い出しました)。

僧侶の側にも問題はあると著者は手厳しい。
世襲制により、一定の修行期間に耐えた後は、
思考停止状態となったまま、
仏教の本質や死と向き合う覚悟がないまま
「おがみや」に徹する僧侶が多いというのです。
著者も若い頃は世襲のレールに乗って僧侶となり、
死後のセレモニーと割り切って、お経を誦んでいました。
しかし、29歳の時、ニューギニアのビアク島で戦没者の慰霊に立ち会い、
ここで夫を亡くした女性の嗚咽を聞いたとき、
多くの兵士たちの苦しみ、痛み、不条理に圧倒され、
「苦」を真正面から見ることを誓う。
そして僧侶とは何をなすべきなのか、寺とは何をする場所なのか、
という問題を模索し、行動を重ねていきます。
(著者の具体的な行動と、
他の僧侶たちの嫉妬も含めた批判については番組でお話します)

著者が到達した答は
「寺と僧侶は、死者だけを相手にするのでなく、
現に生きて『苦』をかかえている人の支えや助けにならねばならない」ということ。
そして、寺が変われば社会は変わる、と前向きです。
日本には約8万のお寺があり、その数はコンビニの倍に及ぶそう。
確かに、日本で最大の“支店”を有する巨大組織が動けば
日本、日本人も変わるのかもしれません。

でも、変わるのは寺、僧侶だけでいいのだろうか?
そんな疑問が湧いてきます。
突然死でない限り、
人は必ず死の不安、恐怖と向き合わなければなりません。
僕もそろそろそんな年齢になってきました。
先月、奈良・京都でたくさんの美しい仏像に出会い、
お賽銭を投げ入れ、手を合わせたけど、
それで何が変わったのだろうか?
“仏拝んで魂入れ変えず”
そんな言葉を思い浮かべながらページを捲っていました。

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2009/11/03

ユーリス・コラン 今年のクリスマスシャンパンを確保!

先々週の京都での夜。
『Rocking Chair』という素敵なバーで
素敵な女性と待ち合わせした(遺憾ながら妻も同席)。
「せっかく京都にいらしたのですから」(実際ははんなりとした京ことば)
と彼女がシャンパンを御馳走してくれることに。
店の主人が勧めてくれたのが
「Ulysse Collin」(ユーリス・コラン)というラベル。
大好きなブランドブラン(シャルドネ100%)だった。
値段が気になったけど、図々しくも
「これしかない!」と頼んでしまった。
繊細な香りと口にひろがる軽やかで切れのいいシャルドネ。
確かに美味しかった。
でも、一軒前の店で口にした鶏肉と芋焼酎で
僕の味覚と嗅覚はすでにスイッチ・オフになっていたようで、
それ以上の感想は覚えていません。
不覚です!
皆さん、シャンパンとマティーニは口開けの一杯にしましょう!

旅から戻り、気になったのでシャンパンのことを調べてみた。
するとかなりレアなボトルであることが判明。
いくつかのサイトを総合してみると以下のようになります。

生産者のコラン家はコンジィ村で約200年前から葡萄を栽培。
1930年からシャンパーニュ販売を始め
現在は3代目のオリヴィエ・コランが受け継いでいる。
オリヴィエ氏は父の代まで行われた大手と手を組む方法をやめ、
自らのシャンパン造りのために独自の道を歩み始めた。
彼はシャンパン界のカリスマともいえるアンセロム・セロスの
元で修業し、セロス氏が「私の弟子」と認めたほどの人物(なんだそう)。
2003年にユリス・コランを創設。
2004年が最初のヴィンテージで、生産量は僅か5400本。
ミレジメ(ヴィンテージ・シャンパーニュ)を名乗ってはいないが、
実際には単独年産(モノ・アネ)ブドウだけで出来ているシャンパーニュで……。
(以下長くなるので番組でお話します)

つまり、ユーリス・コランはシャンパン界において
いま注目の新星であり、かのロバート・パーカー氏も絶賛しているとのこと。
こうなると、どうしてももう一度飲んでみたくなるのが酒飲みの性。
しかし注目度なのか本数の少なさなのか、
どのサイトでも完売が続出。
今朝、1時間ほどパソコンの前で続け何とか2本ゲットしました。
今年のクリスマスはこのシャンパンで口開けします。
麗しく、太っ腹なKさん、本当にありがとう。

024
*お店でエチケットしてもらったユーリス・コラン
のラベルです。

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2009/11/02

セバスチャン・サルガド写真展「アフリカ」

週末、恵比寿の東京都写真美術館で
セバスチャン・サルガド写真展「アフリカ」を観てきました。
サルガドが1970年代後半から30年間に撮り続けたアフリカの
モノクロ写真100点を通して、この大地で起きている現実を
多角的に紹介した展示でした。

感情に流されることなく対象に向き合う冷静さ。
事前の社会分析に裏づけされたシャッターチャンスへの確信。
構図もドラマチックだし、プリントも美しい。
「ユージン・スミスとカルティエ・ブレッソン以来、
報道写真界に出現した最高の逸材」と称えられるのも納得です。
本来なら一枚一枚の写真の前で、
僕は素直に感動するべきだったのでしょう。
でも何故だかそんな至福の時間は過ごせなかった。
解放人民運動、難民、地雷、大量虐殺、孤児院、干ばつなど、
写真についたキャプションを読むだけでも気の滅入る時間。
そして、そこに写し出された現実をリアルなものとして
感じなくなっている自分にショックを受けました。

アフリカは「見捨てられた大陸」だと呼ばれているそう。
「ならば僕も間違いなくアフリカを見捨てた一人なのだろう」
そんなことを考えながら写真館を後にしました。

今日はまたサルガドが現在取り組んでいるプロジェクト、
「GENESIS」のこと、そして彼の写真が世界中に配信された
レーガン大統領狙撃事件についてもお話します。

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清水清

 テニス専門誌や幻の名雑誌といわれた『バッカス』の編集を経て、『エスクァイア』日本版編集部に。4年間を副編集長、5年間を編集長として在籍し、イタリアのスローフードやバリ、日本のBAR、沖縄、アートなど自分の趣味をそのまま誌面に反映させた特集に従事する。 『エスクァイア』退職後、4ヶ月間の石垣島生活を経て、現在に至る。座右の銘は「漂えど沈まず」。

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