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2008/08/28

ケッヘル332のアダージョは天気雨。ちょっとせつない。でも、せつなすぎないのがいい。

先日に続き、中山可穂さんの上下巻800ページを超える長編小説『ケッヘル』(文藝春秋)から、モーツァルトの名曲をたくさん紹介していきたいと思います。旅の行く先を決める列車番号もケッヘル、次々と起こる殺人事件も、その謎を解く鍵もケッヘルにある、といった具合に、とにかくケッヘルの法則とでもいいたくなるようなものに支配されている主人公たち。物語の後半はかなり重い内容になりますが、次のようなロマンティックな文章も登場してホッとさせられます。

「夢の醒め際のキスはね、K332のアダージョに一番似ています。モーツァルトのピアノソナタ十二番の第二楽章。甘いけど甘すぎず、あたたかさの中にむなしさもある。(中略)天気雨みたいな感じ。ちょっとせつない。でも、せつなすぎないのがいい。」(下巻166ページ)

僕も先程この曲を聴いていたのですが、確かにそんな気がしてきました。皆さんはいかがでしょうか。

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清水 清

 テニス専門誌や幻の名雑誌といわれた『バッカス』の編集を経て、『エスクァイア』日本版編集部に。4年間を副編集長、5年間を編集長として在籍し、イタリアのスローフードやバリ、日本のBAR、沖縄、アートなど自分の趣味をそのまま誌面に反映させた特集に従事する。 『エスクァイア』退職後、4ヶ月間の石垣島生活を経て、現在に至る。座右の銘は「漂えど沈まず」。

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