フランス語で金曜日のことはVendrediヴァンドルディ、と言いますが、これは「ビーナスの日」を表します。我々はビーナスと英語で親しんでいる女神ですが、もともとラテン語の「ウェヌス」で、ラテン諸語のイタリア、スペイン、フランスなどはみな金曜日の綴りはVから始まります。
ラテン神話でのウェヌスはギリシア神話のアフロディテの性格を受け継いでいるといわれますが、もともと人類の半分を占める女性、いや、平均寿命が男性より長いことを考えますと半分以上でしょうか・・・の形をした神々が多神教の場合、敬われているということは不思議でもなんでもありません。そして何より女性は生命を生み出す存在でもありますので、たとえばローマではウェヌスは菜園の守り神、作物に関係のある神だったようです。
ところが、一神教であり、教皇に権力を集中させる必要のあったキリスト教は、特に最初のうち男性優位を貫き、福音書の中でもたとえばマグダラのマリアの存在など、意図的に女性を目立たせない方針をとります。
しかし、もともと古代から続く地母神信仰などを取り入れる必要も一方であり、それが「聖母マリア信仰」に収斂していきます。
フランスに暮らしていますと、いろいろなマリア信仰にであいます。有名なところでは青い布を持ったマリア像、これは南仏ルルドに現れた「ルルドのマリア」。また同じく南フランスから南スペイン一帯に存在する「黒いマリア」に対する信仰。ルルドの奇跡は決して古いことではありませんが、これらも、人々の女性神に対するいろいろな信仰の形があらわれている、と解釈もできましょう。
女性のことをあらわすシンボルマーク、「♀」はもともと金星のマークです。金星はその名もウェヌス。明けの明星、宵の明星として知られるように日の出日没前後にしか見られない内惑星金星は、古くから美しい惑星とされ、女神に擬せられてきたのです。
今日は、OTTAVA frescoで初めて、ホルストの組曲「惑星」から「金星」を全曲お聴きいただきます。いつもは後半部分のみでしたので、今日はとても印象的な冒頭のホルン・ソロを聴いていただきたいと思います。秋にふさわしい響きだと思います。
私は「惑星」のなかでこの「金星」がもっとも好きです。
そして、金曜日まで同じく連続でお送りする「THE ハプスブルク」に関する物語。今日は「オーストリアよ結婚せよ」のお話にしましょうか。他の多くの国が男性を集めて戦争をすることによって領土を増やしていくのに熱心だったときに、ハプスブルク家は男性も女性も結婚することによって領土をメキメキと増やしていったのです。絶対的な男性優位社会の中世にあっても、ハプスブルク家にとっては女性も、重要な役割を担っていたのです。そしてそこにはミステリーも・・・・・・