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2008年5月

2008/05/30

女優!

先日ゲネプロを観てきましたウィーンフォルクスオーパーの「ボッカチオ」は

予想以上に華やかで楽しい生粋ウィーンの香りぷんぷんのオペレッタでした。

月曜日の放送でもご紹介したギリシア出身のソプラノ、アンティゴネ・パポウルカスさんが

凛々しい姿でボッカチオ役を歌っていましたが、女性がボッカチオを歌うのは原典版のほうで

最近では男性歌手が歌うことも多いと聞きました。

歌い手によってイメージが変わるのがオペラ&オペレッタですので、このボッカチオ

男性ヴァージョンで鑑賞したら、まったくイメージが変わってしまうだろうなと想像したり。

パポウルカスさんは男性役でキャリアを積んだ方ですが、身のこなしや表情など

さすが!と思える二枚目ぶりで、役者としてもかなりのレベル。

俳優としてのクオリティを感じたステージでした。そこで今日は、ソプラノをメインに

歌手の「女優力」にフィーチャーした話題をお届けしたいと思います。

セピアは、これに関連して往年のオペラ大女優、ミレッラ・フレーニの

プッチーニをお届けする予定です。ナタリー・デセイ、ルネ・フレミングの

歌も、お楽しみください。

小田島

2008/05/29

Hakuju Hall

代々木公園の近くにあるHakuju Hall(ハクジュホール)という素敵なホールをご存知でしょうか。リラクゼーションということを最大限意識して作られたこのホールは、300席という親密な空間、胎内のゆらぎを思わせる曲線的なデザイン、疲れずに聴けるリクライニングシート、そして潤いのある美しい音響と、居心地の良さには素晴らしいものがあります。8月22日から24日まで3日間行われる「第3回Hakujuギターフェスタ2008~ラテン・アメリカの熱い風」は、OTTAVAでもおなじみの新世界クラシック関連の作曲家がたくさん登場します。これらをライヴで聴けるのは珍しい機会なので、ぜひとも注目したいところです。

26372 「オペラ『薔薇の騎士』誕生の秘密 R・シュトラウス/ホフマンスタール往復書簡集」(大野真、堀内美江訳/河出書房新社)

天才詩人と天才作曲家の共同作業による20世紀最高のオペラ「ばらの騎士」がどのようなやり取りの中でできあがっていったかを生々しく伝える記録です。遠慮仮借ない両者の応酬は、お互いの敬意と友情があってこそですが、相手のフィールドのことであろうと、詩人は遠慮なく「音楽はこうあって欲しい」と書き、作曲家は「詩句はこうであって欲しい」と書いています。この緊迫感には息をのむものがあります。「あなたならできるはずだ」という言葉が象徴するように、この共同作業は、お互いの潜在能力を限界以上にまで引き出す結果を生んだのかもしれません。最高の芸術は、孤独な密室作業ばかりではなく、よきパートナーとの刺激によってこそ生まれるのでしょう。

                                                  林田

2008/05/28

せんくら2008

第3回を迎える仙台クラシック・フェスティバル(通称せんくら)2008が、今年も10月11、12、13日の3日間行われます。およそ100公演をよりどりみどり選ぶクラシック音楽のお祭り、前売り券は1公演につき1000円。その先行予約が6月6日に迫っています。今日はせんくらの情報をまとめてお伝えします。

「基本はバッハ」(ハーバート・クッファーバーグ著、横山一雄訳/音楽之友社)

短いコラム風の文章でつないでいく、もっとも読みやすいバッハの入門書です。バッハの20人の子供たちのその後すべてについてのコラム、バッハの食生活や就職活動についてのコラム、バッハの盗作についてのコラムなど、どれも面白く読めて、バッハに一層親近感が湧くものばかりです。1992年初版なので、入手がやや難しいようです。

                                                林田

2008/05/27

パガニーニ命日

1840年5月27日、史上最大のヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニは57歳の生涯を閉じました。パガニーニは生前、コンサートに押しかけた女性たちが失神するほどの人気者でした。現代でいうならロックンローラーみたいな存在だったに違いありません。ともすればパガニーニの音楽はその技巧面ばかりに焦点が当たりますが、その美しい旋律も超一級品だったのではないでしょうか。

390302 「誰がヴァイオリンを殺したか」(石井宏著/新潮社)

ヴァイオリンの魔力とはいかなるものだったのか、その秘密を興味深いエピソードとともに歴史を追って解き明かしてくれる本です。特に、名器の途方もない値段は音色につけられたものではなく、骨董品としての価値であり、音がいいから値段が高いのではない、そもそもヴァイオリンの音色とは演奏者の音色であって楽器固有の音色ではない、という指摘は非常に鋭いものがあります。ただ、現代のヴァイオリンや聴衆の耳に対する著者の辛辣な意見については意見の分かれるところでしょう。いずれにせよ、ヴァイオリンに関心のある人にとって必読の問題作であることは疑いありません。

                                                  林田

2008/05/26

夏のウィーンと雨の庭

先週金曜日に「こうもり」で初日を迎えたウィーン・フォルクス・オーパー。

これから六月にかけて「ボッカチオ」「マルタ」とカンパニーの看板的な名オペラ

&オペレッタを上演していきます。愛すべきウィーン気質を浮き浮きする音楽に乗せて

楽しませてくれる彼らの魅力について、今日はご紹介いたします。

来日の予定はありませんが、「魔笛」が初演されたことで有名なウィーンの

アン・デア・ウィーン劇場は、二年前のモーツァルト・イヤーを契機に

再びオペラハウスとして傑作を上演する方針を新たにしました。

そこで上演される予定の演目についても、ご紹介いたします。

(ぜひ現地で楽しんでみてはいかがでしょう?)

そして、もうはじまっているグラインドボーン音楽祭。まだ訪れたことはないのですが

今年はブリテン、ビゼー、チャイコフスキーにモンテヴェルディと

話題作が目白押しです。

後半では、雨にまつわる美的なクラシックの名曲についてご紹介する予定です。

今日のトスカニーニは・・・開けてのお楽しみです♪

小田島

2008/05/23

ロマン主義とリアリズム 彼岸と此岸

水曜日に聴いてきた別府アルゲリッチ音楽祭・第十回記念の東京でのリサイタルは

音楽家のアプローチについて色々考えさせてくれるものでした。

内容としては、梶本大進さんのヴァイオリン、川本嘉子さんのヴィオラ

ネルソン・ゲルナーのピアノ、ミッシャ・マイスキーのチェロを同時に堪能できるという

並外れて豪華なものでしたが、マイスキーのロマンティックなバッハの無伴奏を

聴いて、彼がアルゲリッチと相性がよいのは面白いケミカルだと思いました。

アルゲリッチの演奏はロマン主義とは正反対にあるもの、というか

非常にユニークで、彼女には「時差」というものがない。

過去へのノスタルジアや未来へのファンタジックな期待のない、完璧な「現在」

を切り取る演奏がアルゲリッチのピアニズムだと思うからです。

その点で、アルゲリッチは過激にアナーキックな芸術家だと思うのですが

これが、厳密な意味での「後継者」が存在しない理由だとも思ったのです。

彼女にとって息をするように当たり前なこと。それがつまりアルゲリッチの音楽

なのですが、そこにはとても野生的なメカニズムがあるような。

今日は、アルゲリッチに触発されて考えたことなどを心のままにお話いたします。

セピアは、今年三月に亡くなったテノールの名歌手、ジュゼッペ・ディ・ステファノ

をご紹介する予定です。お楽しみに!

小田島

2008/05/22

国歌ファンタジー

504 大作曲家によるピアノ版で、多くの国の国歌を集めた、大変興味深いCDが出ました。「国歌ファンタジー」エリカ・ヘルツォーク(p)(キングレコード KKCC3020)です。今日はここから何曲かご紹介したいと思います。特に、冬木透さんによる「君が代パラフレーズ」は、君が代のメロディが意外な陰影と奥行き、憂いを帯びた表情で展開される作品で、とても考えさせるものがあります。

1490801 「ユダヤ人とドイツ」(大澤武男著/講談社現代新書)

音楽の世界ではユダヤ人の優れた人材がきわめて多いのは言うまでもありません。音楽のことを考える上で、ユダヤ人問題は避けて通れないとさえいえるでしょう。しかし、ユダヤ人とは何なのかについて、あまりにも私たちは何も知らないのではないでしょうか。本書はユダヤ人についての初歩的な歴史知識、なぜヒトラーが反ユダヤ思想を持つようになったのかなどを解説しています。ルターの驚くべき反ユダヤ主義の内容や、中世以来のユダヤ人の高利貸しの金利の推移など、興味深い事実がたくさん挙げられています。1991年の初版ですが、いまも新鮮に読むことができる、これはユダヤ人を知るための必読の書です。

                                                   林田

2008/05/21

コロベイニコフのスクリャービン

Mir06120couv20scriabine20rvb20vigne スクリャービンは私のもっとも好きな作曲家の一人なのですが、ラ・フォル・ジュルネでも大活躍したロシアの若手気鋭ピアニスト、アンドレイ・コロベイニコフのスクリャービン作品集のCD(MIR061)が気に入っています。ルネ・マルタンのレーベル、MIRAREの音源で、ピアノ・ソナタ第9番「黒ミサ」をご紹介します。

「写真と資料でみるバルトークの生涯」(フェレンツ・ボーニシュ編・著/国際文化出版社)

作曲家バルトークその人の生き様、息吹きを感じることのできる、これは素晴らしい写真集です。バルトークの直筆楽譜もたくさん掲載されていて、思いのほか丹念で確信に満ちたオタマジャクシの書き方に驚かされます。家族とくつろぐリラックスした表情のバルトークにはつい親しみを覚えます。そしてバルトークのキラキラと輝く瞳の美しいこと! ボーニシュによる短い伝記も簡潔ですが情報量は充実。力のある文章で感銘を与えられます。序文は柴田南雄。

                                                    林田

2008/05/20

ブレイク

今日、スタジオに来る前にブレイクという英国のクラシカル・クロスオーバーのヴォーカル4人組をインタヴューしてきました。イル・ディーヴォみたいなイケメンなのですが、音楽性は似て非なるものでした。やはり英国の合唱音楽の伝統を感じさせる、ハーモニーの美しさがあるのです。いま、さまざまな新しい動きがあるのは、むしろクロスオーバー界ですね。

「チャールズ・アイブズ 音楽にひそむアメリカ思想」(J・ピーター・バークホルダー著、木邨和彦訳/旺史社)

これからアイヴズの音楽はますます注目されると思うのですが、なかなか日本語で読めるいい文献が見当たりません。そうした中で、本書はアイヴズ自身の言葉が豊富に紹介され、その全体像を知る上でも貴重なガイドです。それにしても、アイヴズは、多くの作曲家がそうしたように、聴衆が好みそうな音楽を書いたのではなく、自分の好きなように音楽を書いたし、それを家族がよく理解していたおかげでそれができたのだということは、非常に興味をそそることです。

                                                 林田

2008/05/19

サンソン・フランソワに恋して

5月18日(昨日)は、私が偏愛するピアニスト、サンソン・フランソワの誕生日でしたので

今日はそれを祝って、サンソン・フランソワのプチ祭りを催したい(炎o炎))))と

目論んでおります。フランクフルト生まれのフランス人。ワインと煙草を愛し、

46才の若さでこの世を去った彼のピアニズムは、魔術師のようなあやしさと

洗練された詩情に溢れていました。軽やかで淡々としているのに、何処か濃厚で

彼自身の人となりは、19世紀の大芸術家のようでもありました。

フランソワのドビュッシー、ラヴェル、ショパンの瀟洒な響きをお楽しみください。

新譜紹介は、ピョートル・アンデルジェフスキーのベートーヴェンのバガテルとコンチェルト。

こちらは音源を実際にかけてご紹介いたします。

音はお聞かせできませんが、ヨナス・カウフマン(テノール)の「ロマンティック・アリアズ」も

おすすめです。セピアは、再び世紀のワンマン・マエストロ、トスカニーニが登場です。

トスカニーニ、今日はおまけもついています!!!

小田島

2008/05/16

クラシックinラブ

オペラを知れば知るほど、胸がときめく「恋の歌」がたくさんあることに

わくわくしてしまいます。そして、そこにはいくつかの法則があるような気も。

ヴェルディの場合、ソプラノとテノールがあまり激しく愛の歌を歌いすぎると

破滅へと転げ落ちていく、というパターンがありますし、プッチーニなどの場合

恋をすると、男女お互いに「長い自己紹介をする」という定番があるような。

(「ラ・ボエーム」のロドルフォとミミの出会いのシーンはその典型)

恋そのものより、恋する気分にとりつかれて熱にうかされたアリアを歌う

登場人物もいますよね。フィガロの結婚のケルビーノが歌う歌がまさにそれ。

リゴレットの伯爵が歌う「女心の歌」は、女全般についての歌で、

彼の中では女という「類」が愛すべきものなのだという認識がわかります。

ちょっと変わったラブソングではありますよね。

きわめつけは、愛の媚薬で「好き好き大好き』状態になってしまうトリスタンと

イゾルデ。あまりに曲が美しいので、誰も突っ込みませんが、シチュエーション

としては、かなりギャグ・・・なので、ドニゼッテイはこのパロディ「愛の妙薬」を

書いたのですね。

今日はさまざまなオペラの「恋の歌」をたくさんご紹介する予定です。

小田島

2008/05/15

古典派

古典派風の形式感は、クラシック音楽の作り出した一つの偉大な美学だと思います。今日は、前田二生指揮新東京室内オーケストラ第23回定期公演(企画監修・ウィーン楽友協会資料館)の録音で、古典派の系譜をひくロガーやヘルベックの作品をご紹介したいと思います。

26852 「『アメリカ音楽』の誕生 社会・文化の変容の中で」(奥田恵二著/河出書房新社)

アメリカ音楽とは何かという大きな問題に正面から立ち向かった非常な意欲作。時代的にもジャンル的にも幅広い視点を持ちながら、アメリカ社会における音楽のあり方について、さまざまな知識や逸話が盛り込まれています。クラシックの作曲家ではアイヴズとコープランドに力点が置かれているのも注目されるところ。文体は非常に平易で、読みやすく、また面白い本に仕上げられています。

                                                  林田

2008/05/14

寒い

本当に温暖化しているのか、と思うくらい、ここ数日寒い日が続きますね。私は日ごろから非常に寒がりなので、冬服をまた持ち出してしまう始末です。さて、今日も昨日に引き続いてコンサートの情報を集めてご紹介します。

ル・ジュルナル・ド・ショパン(ショパンの音楽日記):6人のピアニストたちが、ショパンの全ピアノ作品を作曲順に追って演奏していくというもので、一つのコンサートを手分けして入れ替わり立ち代わり弾き進めていくスタイルが斬新です。11月27~30日東京オペラシティコンサートホール、11月21~23日サンケイホールブリーゼ(大阪)、24日しらかわホール(名古屋)。詳細は梶本音楽事務所へ。

エサ=ペッカ・サロネン指揮ロサンザルス・フィル:この秋に国立新美術館とサントリー美術館で同時開催される巨匠ピカソ展に合わせて10月21日と22日に行われるコンサートで、ピカソともディアギレフを通じて縁の深かったストラヴィンスキー、ファリャ、ラヴェル、ドビュッシーの作品を取り上げるものです。17年の実績を持つサロネンとロス・フィルの芸術的成果を知るにも絶好のタイミングです。作曲家であることと、指揮者であることが深く結びついているという意味で、サロネンはバーンスタインやブーレーズに匹敵する偉大な音楽家になっていくであろうと私は思います。詳細はサントリーホールへ。

ダニエル・ホープ ヴァイオリン・リサイタル:いまイギリスでもっとも熱いと言われるヴァイオリニスト、ダニエル・ホープがついに日本で6月15日にトッパンホールで初リサイタルを行います。ピアノは名パートナーでもあるセバスティアン・クナウアー。モダン奏法かオリジナル奏法かという次元を超え、ジャズやインド音楽も含めたクロスジャンルな活躍をしているだけでなく、名門ボザール・トリオのメンバーでもあります。激しさも詩情も兼ね備えた彼のヴァイオリンをライヴで接することのできるチャンスです。詳細はトッパンホールへ。

映画「オーケストラの向こう側 フィラデルフィア管弦楽団の秘密」:「オーケストラの少女」や「ファンタジア」でも映画と縁の深いフィラデルフィア管弦楽団にダニエル・アンカー監督らスタッフが2年間密着し、さらに2年間編集したという音楽ドキュメンタリー映画。そのテーマは、なぜ音楽をするのか、という本質的かつシリアスなもの。何か裏の事情を暴こうとか、そういうことでは一切なく、とにかく音楽の本質だけをじっと見据えた、人を考えさせる、そして音楽の素晴らしさに気づかせてくれる映画です。今月のフィラデルフィア管弦楽団来日公演にタイミングを合わせた公開。5月17日より渋谷ユーロスペースで。詳細はユーロスペースへ。

コンポージアム2008:今年のテーマ作曲家はスティーヴ・ライヒ。5月21日から25日にかけて東京オペラシティコンサートホールで行われます。ミニマル・ミュージックの第一世代として、いまも絶大な影響力と人気を誇るライヒの音楽、そして人間性が、日本の音楽シーンにさらなる刺激を与え、望むらくは日本からも彼が何か触発されてほしいと思います。彼が一人で審査員を担当する武満徹作曲賞本選演奏会は25日。詳細は東京オペラシティコンサートホールへ。

01709674 「大作曲家 サン=サーンス」(ミヒャエル・シュテーゲマン著、西原稔訳/音楽之友社)

音楽史の嫌われ者サン=サーンスを、単に食わず嫌いで済ますのではなく、音楽のみならず博覧強記な総合的文化人としてのユニークなあり方に着目したいと思います。そのための参考となる日本でも唯一とも言える伝記。私生活や感情の痕跡を見事なまでに作品に残さなかったスタイリッシュな仕事ぶりは、かえって興味深いと言えるでしょう。

                                                 林田

2008/05/13

ジスモンチ ソロコンサートの追加公演

先週お伝えしましたが、再度。あさって、5月15日の午前10時より、東京の夏音楽祭でのエグベルト・ジスモンチ ソロ・コンサートの追加公演(7月5日午後6時第一生命ホール)のチケットが発売されます。今年もOTTAVA共催という形で関わることができ、嬉しい限りです。詳細は東京の夏音楽祭の公式ページをご参照ください。

それと、もうひとつ重要なチケット情報を。本日私が受け取ったプレスリリースによれば、今年11月23日~12月1日に行われるラトル指揮ベルリン・フィルの来日公演の詳細が発表されました。25、26、27日サントリーホールのチケット発売日は7月12日午前10時とのことです。公演地は他に川崎、大阪、西宮、岡山。曲目はブラームスの交響曲4つ、ベートーヴェンの「田園」、ハイドンの「オックスフォード」、マーラーのリュッケルト歌曲(マグダレナ・コジェナーMs)。

ムーティ指揮ウィーン・フィル来日公演のチケット情報も再度確認しておきましょう。来日期間は9月14日から24日までで、うちサントリーホールでの公演は16、18、23日。チケットの発売日は6月21日午前10時です。公演地は他に川崎、大阪、新潟、札幌、長野。曲目はヴェルディ「ジョヴァンナ・ダルコ」序曲、「シチリア島の夕べの祈り」からバレエ音楽「四季」、チャイコフスキー5番、ハイドン67番、ブルックナー2番、ロータのトロンボーン協奏曲、映画「山猫」の音楽、ロッシーニ「セミラーミデ」序曲、ストラヴィンスキー「妖精の口づけ」から、など。

「ロマン派の音楽」(ヨハネス・リデール著、福田昌作・宮本憲子訳/音楽之友社)

一般向けにロマン派の音楽についての知識をわかりやすく解説する本なのですが、興味深いのは、社会学的な視点を盛り込んでいることで、19世紀のヨーロッパを襲った産業革命と人口増加という激動が、音楽にどのような影響を与えたかについて、明確な指摘がなされています。具体的には、それまで閉鎖的な宮廷社会への提供物だった音楽が、劇的に増大した「聴衆」を意識するようになった、ということです。1977年の本ですが、こうした音楽社会学的な議論を作品解説と混合させたスタイルは、いまでも十分に新鮮な印象を与えます。

                                                  林田

2008/05/12

クラシック&アヴァンギャルド

この週末は、東京バレエ団のベジャール・プロ、ソプラノの澤畑恵美さんのリサイタル

そしてMetライブ・ビューイングの鑑賞と、バレエ、音楽、オペラ映画に埋もれて

嬉しい悲鳴を上げておりました。以前から知っている演目でも、年を経て違う感じ方を

するものもあり、澤畑さんの歌う「日本の歌」に、心躍るような懐かしさをおぼえたのも

面白い発見でした。東京バレエ団が踊るベジャールの「春の祭典」も、ベジャールが

亡くなった今になって観ると、クラシックのフレームに入るどころか、初演から49年たった

今なお、過激でシャープな作品として輝き続けている事実に驚きます。

ちなみに「春の祭典」は、バレエ・リュスの初演のときも、ストラヴィンスキーの音楽に

対するブーイングの嵐が凄まじかったといいますし、ベジャール版のモネ劇場での

初演のときも、喝采とともにピーピーという口笛が鳴り止まなかったといいます。

「春の祭典」とスキャンダルは、切っても切れない宿縁があるのかも・・・。

Metライブ・ビューイングは、ドニゼッティの「連隊の娘」。デセイのコメディエンヌとしての

才能と、フローレスの見事なハイCの連続9回に仰天の舞台でした。

今日も盛りだくさんなレポートをお届けいたします。

小田島

2008/05/09

新緑のクラシック

ラ・フォル・ジュルネが終わる頃、ここ数年毎年この季節には

お祭りの終わりと、次の高揚感へのスタートという節目を感じてしまいます。

シューベルトを思う存分聴いたあと、仕事中に頻繁に聴いてしまったのは

なぜかプッチーニやベッリーニのイタリアオペラでした。

まとめて聴いたポップスのCDで、とても興奮したのはマドンナの新譜と

レディオヘッドのベストアルバム。マドンナからは、メジャーなアーティストで

ありながら、「反抗」を続けるエッジィな精神を、レディオヘッドからは

崖っぷちにいるような表現者の孤独感を感じたのですが、そのどちらも実は、シューベルトに

共通する特質だったりもするのですよね!

そんな季節のはざまの感じを、クラシックとからめてお話してみたいです。

小田島

2008/05/08

ヘンデル「主は言われた」HWV232

2006年のナントでコルボ指揮で出会って以来、ヘンデルの衝撃の1曲として私の中に刻まれた「主は言われた」HWV232(来年のラ・フォル・ジュルネでも演奏予定!)を今日はご紹介します。19時40分ごろになると思います。そのほか、今日は今月以降の音楽祭やオペラ、コンサートの情報もご紹介していきます。

「聖なるイメージの音楽」(西原稔著/音楽之友社)

19世紀のヨーロッパにおいて、中産階級が出現したことによって「宗教趣味」が生まれ、それに呼応した形で聖なるイメージの音楽が量産されたという、やや冷徹な指摘がなされています。しかし、こうした音楽社会学的分析は、名曲や作曲家に対する新しい視点を確かに提供するものであり、非常に興味深いことは確かです。単に美しい崇高な音楽に酔うばかりでなく、なぜそのような音楽が生み出されたのか、歴史的背景をシビアに観察することは、さらに音楽への理解を深める上で有効でしょう。とても刺激になりました。

※なお、今日は番組の最後では、今年の7月に予定されている東京の夏音楽祭でのエグベルト・ジスモンチの追加公演(ソロ・コンサート)情報も、昨年のライヴ音源2曲とともにお伝えしました。

                                                    林田

2008/05/07

ラ・フォル・ジュルネを振り返って

今年のラ・フォル・ジュルネは私にとって、例年にも増して、「参加した」という実感の沸くイヴェントでした。公開生放送という形で、何よりも、あのガラス棟の通路付近の雰囲気を盛り上げることができたからです。単に報道する、インタヴューする、宣伝するというだけでなく、祝祭の雰囲気を作る一端として、参加したという充実感は、これまでにないものでした。ルネ・マルタンはじめ、魅力的な人々がたくさんゲストに来てくださいましたし、ギャラリーのみなさんととともに、彼らとの会話を楽しめて、本当に幸せでした。スタッフや関係者のみなさん、そして放送を聴いてくださったみなさんに、感謝の気持ちでいっぱいです。

3362430 「ラモーの甥」(ディドロ著、本田喜代治・平岡昇訳/岩波文庫)

大音楽家の伯父の天才に嫉妬しながら身を持ち崩し、体制に寄食し、道化じみた世渡りを展開するラモーの甥という人物、なかなかの傑作です。読みやすい対話体小説で、現代ならさしづめ漫画のようなノリさえあります。全面的な感情の堕落と類稀な率直さ、正しい考えと誤った考えの交互に表れる様は、ねずみ男を少しだけ善人にしたような印象とでも言いましょうか。でも、なかなか鋭いことを言うのです。たとえばこんな言葉。「人間の値打ちはつまり職業の値打ちです。逆に、結局職業の値打ちが人間の値打ちです。だから、人はできるだけ自分の職業を立派に見せるわけでさあ」。すごい皮肉、現代にもそのまま通じるものがありますね。

                                                   林田

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林田直樹

 音楽之友社に13年間在職、「音楽之友」「レコード芸術」などの編集に携わり、「グランドオペラ」の創刊にもかかわる。現在は、フリーのクラシック評論家として活躍。著書に「クラシック新定番100人100曲」(アスキー新書)など。 その他多くの新聞・雑誌・CDライナーノート・公演プログラムやAmazon.co.jpの音楽コラム等にも寄稿。

小田島久恵

 高校時代より洋楽雑誌「ロッキング・オン」に投稿ライターとしてロック評論を執筆、1991年から同誌に編集としてかかわる。2001年からクラシック批評を積極的に執筆開始。最近では、クラシック以外にも様々なジャンルも取り扱い、情報誌やファッション誌でも書評・コラム・エッセイなどを執筆。

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