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2007年12月

2007/12/20

1年のしめくくり

新聞や雑誌では、もうこの1年のしめくくりの記事をよく目にするようになりました。今日が今年の私のOTTAVA Amorosoとしては最後の放送です。少ししめくくり的なお話でもしましょうか。そして次は元日の放送になります。

そういえば今日は大ピアニスト、アルトゥール・ルービンシュタインの命日ですね。1982年に亡くなっていますから、没後25年です。20時40分ごろ、彼の古い録音でノクターンを1曲ご紹介しようと思います。

217870 「指揮棒は魔法の杖?」(エックハルト・レルケ編、野口剛夫訳/音楽之友社)

魔法の杖か、単なる一片の木の棒か、はたまた大いなる権威の象徴か……。ベルリンを本拠とする編者が、ドイツに来演した指揮者39名に敢行した、「指揮棒」をテーマとする連続インタヴュー集です。それにしても、予想以上に多くの指揮者が、手だけで見事に指揮するブーレーズを意識しているとは知りませんでした。それから、結構みんな指揮棒で怪我をしているんですね。とにかく、指揮という行為の本質を考える上で、興味深いだけでなく、指揮者の素顔を知る上でもとても参考になる、楽しめる1冊です。

林田

2007/12/19

新世界クラシック~ラテン・アメリカ発売

「新世界クラシック~ラテン・アメリカ」のCD(ビクターエンタテインメント VICC-60631)が本日発売になりました。ぜひ、ラテン・アメリカ大陸の新しいクラシック音楽の、民族色の豊かさ、メロディの繊細な美しさを感じていただきたいと思います。なお収録曲のなかのアサド「水彩画」は大萩康司さんの演奏です。

02380220 「クリスマス・イブ」(マーガレット・ワイズ・ブラウン著、ベニ・モントレソール絵、矢川澄子訳/ほるぷ出版)

色彩は抑え目に、言葉も少なめに、子供たちにとってのクリスマスイブの夜の出来事を描いた、詩のような絵本です。絵のモントレソールは、メトロポリタン・オペラなどで舞台美術を手がけていた人で、ブラウンの遺作となったこの物語に素敵な絵をつけています。大人が読んでも感動する、まさに芸術的な絵本です。

                                                   林田

2007/12/18

少しずつ来年の話

少しずつ来年モードになってきています。もう来年の連休のラ・フォル・ジュルネは動き出していますし、年明けにはいろいろな重要な公演の前売りも始まります。もちろん、まだまだ年内もいいコンサートはたくさんあります。軽井沢十二月祭では、シューベルトの「冬の旅」を3人の名歌手が歌いますが、パーティ付のチケットを買うと、万平ホテルでアーティストを囲んだ会に参加できるようです。

Isbn9784569696249 「すべては音楽から生まれる 脳とシューベルト」(茂木健一郎著/PHP新書)

脳科学者ならではの視点から、音楽と人間の関係について、興味深い考察がなされています。「耳をすます」とは、「私は○○を感じる」という主観性をさらに掘り下げていくことであり、「聴く」という行為は能動的なものだと茂木さんはお書きになっていますが、これにはまったく同感です。巻末にルネ・マルタンとの対談がついています。

                                                  林田

2007/12/17

年末モード突入

さて、OTTAVAによる『TOKYO FANTASIA2007』音の演出プロジェクトが

今月21日からスタートします。その間、amorosoの時間枠はお休みになるため

私の放送は、年内は本日が最後になります。

みなさん、しばらくの間留守にしますが(!)、その間もOTTAVAをお楽しみくださいね!

私のほうは、休み期間何をしようかまったく計画を立てていなかったので

昨日はHMVでオペラやバレエのDVDを買い込んだり

レンタルのDVDをどっさり借りこんできてしまいました。

今日はその中から、ヴィラゾン&デセイの「マノン」の新作DVD、

シルヴィ・ギエムとニコラ・ル・リッシュによる「マルグリットとアルマン」のDVDについて

ご紹介します。加えて、また出たカラヤンの生誕100年メモリアル・アイテム

「エターナル・カラヤン」も取り上げたいです。

ちなみに、レンタルでゲットしたDVDは、「仮面ライター カブト12巻」と

「仮面ライダー カブト劇場版」などでした・・・主演の方が、ダンサーの首藤康之さんに

少し似てらっしゃいます・・・(声も)。

ではでは。また年明けにお会いいたしましょう(^^)/

おだしま

2007/12/14

両性具有の美

14年前に映画にもなった「さらばわが愛 覇王別姫」が

蜷川幸雄監督・東山紀之主演で舞台化されると聞き、期待に胸をふくせませています。

レスリー・チャンが主役を演じた映画版は、公開当時劇場で見ましたが、とても

大きな衝撃を受けたことを思い出します。京劇特有のあの甲高い歌声は

カストラートにも似た至芸でしたし、当時香港ヌーベルバーグの旗手として

注目を浴びていた(いまや巨匠の)チェン・カイコーのドラマティックな演出も

物語を完璧なもにのにしていました。

レスリー・チャンが衝撃的な死を迎えてから四年がたちますが

アジア映画髄一の「両性具有」的スターとしても、歴史に残る人物だと思います。

今やアジアスターといえば、韓流スターが主流ですが、私は以前から香港派(!)でした。

今日は覇王別姫にからめてレスリー・チャンの思い出やカイコー映画で

活躍した撮影監督のクリストファー・ドイル、ベルトルッチ映画のカメラマン

ヴィットリオ・ストラーロについて語ってみたいと思います。

ピアニストの上原彩子さんの新譜「プロコフィエフ作品集」や、チェチーリア・バルトリの

新譜「マリア」もあわせてご紹介する予定です。

おだしま

2007/12/13

日本人作曲家

クラシック音楽というと、なかなか視界に入りづらい日本人作曲家ですが、ここにも新世界クラシックと同様に、素晴らしい宝の山が眠っています。戦前からヨーロッパで活躍した大澤壽人(おおざわ ひさと 1907-1953)もその一人。ナクソスから出ている日本作曲家選輯の最新盤から今日はご紹介します。

4087734390 「神秘のモーツァルト」(フィリップ・ソレルス著、堀江敏幸訳/集英社)

以前自分のブログでも紹介したことのある本ですが、いつかここでもご紹介したいと思っていたものです。小説、評論、伝記、エッセイなどの要素を包括したスタイルの読み物で、モーツァルトの音楽の本質に言葉によって迫ろうとした、非常に真摯な作品だと思います。ほんの一部でもいい、ぜひとも手にとってその文体に触れてみていただきたいと思います。モーツァルト好きなら、きっと心に触れる何かがあるはずです。

                                                   林田

2007/12/12

ときどき

無性にオペラが聴きたくなります。たまには精のつく焼肉でもガーッと食べたくなるのと同じで、肉食の血が騒ぐときは、オペラに限ると思います。特にヴェルディの強烈なもの。ただ、劇場に足を運ぶには値段が高いし、3~4時間かかるのも気になる人も多いでしょう。でも、いつかオペラ、それもイタリアものにはトライしていただきたいものです。真夏には適さないかもしれませんが、秋から冬にかけてはオペラにも好適なシーズンです。スカラ座もメトロポリタンも、幕が開き、盛り上がってくるのはこの季節です。もちろん、われらが新国立劇場も、興味深いプロダクションが次々繰り出されてくるようです。

0269 「僕の叔父さん 網野善彦」(中沢新一著/集英社新書)

歴史学者・網野善彦の本からは、私も深い感銘を受けてきたのですが、中沢さんの私的な回想によって、その秘密の一端に触れることができます。「歴史学とは、過去を研究することで、現代人である自分を拘束している見えない権力の働きから自由になるための確実な道を開いていくことである」と中沢さんは述べていますが、これは音楽学についても言えることかもしれません。偉大な叔父への敬愛に満ちた、心からの言葉に溢れた本です。

                                                   林田

2007/12/11

どんより

赤坂のOTTAVAスタジオに向かう途中、いつも空を見上げるのですが、今日は西の空がどんより曇って暗い雲が垂れ込めていました。こういう不安な雲の存在を、後期ロマン派の音楽にはときどき感じます。そういう雰囲気もまた、クラシック音楽のひとつの醍醐味です。

9784756150752 「疾風怒濤のクラシック案内」(宮本文昭著/アスキー新書)

日本を代表する名オーボエ奏者としての演奏経験をふんだんに盛り込んだ、とても楽しい本です。これまで私がクラシック音楽界でインタヴューしてきたなかで、宮本文昭さんほど楽しい人は滅多にいませんでしたが、そのときの楽しい記憶がまざまざとよみがえってくるほどです。クラシック音楽がまとっている鎧を宮本さんほど見事に破ってくれた人はいないと思いますし、正統派の音楽もクロスオーバーな冒険も両輪やってこられた宮本さんの今後を応援したい気持ちでいっぱいになりました。とても読後感の爽快な一冊です。

                                                    林田

2007/12/10

年末進行・・・

ライター業界では、12月は「魔の月」です。

いわゆる年末進行と呼ばれる前倒しスケジュールで、おのずと睡眠時間も

減らさなければならない毎日・・・夜は冷えるので、合間に何度も入浴しながら

原稿を書いています(ハニーレモンの香りの入浴剤がよい香りです)。

その一方で、思わぬ方からお歳暮をいただいたり、嬉しいことも多い12月。

早く仕事を終わらせて、クリスマス気分を楽しみたい!と思ってしまいます。

今日はアルゲリッチやヴィラゾンの新譜CD、まだある第九コンサート、

尽きない年始のウィーン風コンサートについてご紹介します。

仕事の合間に思わず読み入ってしまった、カーリー・フィオリーナ著

『私はこうして受付からCEOになった』(ダイヤモンド社)についても

ふれてみたいと思います。

おだしま

2007/12/07

帝王、女帝、フォーエヴァー

ユニバーサルからリリースされる「カラヤン・ベスト」を聴いて、他のどの指揮者とも違う

巨匠カラヤンの芳醇な音楽性に、改めて感動しました。「木星」「フィンランディア」「カルメン前奏曲」

「花のワルツ」「ワルキューレの騎行」などなど、ど真ん中ストライクのメジャー曲ばかりなの

ですが、カラヤンが振ると何かが違う。音楽に太い幹のような芯が感じられ、表面は

あくまで高級な革製品のようななまめかしさを保っています。

ジャズやロックの世界でいう「アブソリュート・グルーヴ」のようなものが、クラシック音楽にも

あるような気がしました。この曲はこのように演奏されるべき・・・という絶対的な価値が

カラヤンにはあったように思います。ノーブルで重層的な音楽性は、文字通り「帝王」の

ものです。

そして、「女帝」マリア・カラスのDVDで見られる、カラスの歌唱力・演技力にも

再度大きな発見がありました。カラスは、演出家の目線で歌手としての自分を

プロデュースしていたように感じられるのです。

このDVD「マリア・カラス・フォーエヴァー」はインタビュー映像も充実しているのですが

ジャーナリストをおしのけて連射砲のように自己の芸術観を語るカラスに

「悲劇の歌姫」のような弱いイメージはありません。超越した知性こそが、

彼女を「女帝」たらしめていたのでしょう。

芸術家の帝王学とは何か? そんなことを考えながら、今日はお話してみたいと

思っています。

おだしま

2007/12/06

ハイフェッツ

今日は、来週12月10日に没後20年を迎える大ヴァイオリニストのヤッシャ・ハイフェッツを記念して、ハイフェッツの演奏をいくつかご紹介します。そして、比較といっては何ですが、メニューイン、サモンズ、ブッシュ、ミルシテイン、そしてクライスラーの演奏も少々とりあげます。

1492221 「キリスト教文化の常識」(石黒マリーローズ著/講談社現代新書)

アヴェ・マリアや数々のミサ曲など、クラシック音楽とキリスト教は切っても切れない関係があります。オペラでも教会や神父の出てくるものは多いです。しかし、私たちは一般生活レヴェルでのキリスト教文化についてはあまりよく知らない。これは彼らの人生観にもかかわる大きな問題です。それをわかりやすく解いてくれる、とても参考になる本です。

                                                   林田

2007/12/05

モーツァルトの命日

今日はモーツァルトの命日ですね。他のプレゼンターの人も、少しずつモーツァルトについて触れているようです。私も、今日のトークはモーツァルトを少し多めに取り上げてみたいと思います。ちなみに、来年の前半でのモーツァルトのコンサート・オペラ関係の私のオススメとしては、サントリーホールのホールオペラ「フィガロの結婚」(3月)ですね。スザンナ役のダニエレ・デ・ニースは、以前ナントで彼女の舞台姿と歌に触れて、あまりの美しさ、キュートさに、完全に心を奪われてしまいました。本当に彼女はすごい。あんなスザンナなら、伯爵がご執心になるのもやむを得ないでしょうね。まだ日本では無名ですが、あと1、2年もすれば大スターになっている可能性は極めて高いと思われます。

85_400 「蜷川幸雄とさいたまゴールド・シアターの500日 平均年齢67歳の挑戦」(橋田欣典、須賀綾子、強瀬亮子、埼玉新聞取材班著/平凡社新書)

彩の国さいたま芸術劇場で生まれた高齢者劇団、さいたまゴールドシアターを追ったドキュメンタリーです。参加した方たちにとっても挑戦だったでしょうが、蜷川さんにとっても大変な挑戦だったということがよくわかりました。これは、演劇界のみならず音楽を含めたパフォーミングアート全体に対する起爆力を持った、ひとつの「問いかけ」だと思います。こうした取材が、演劇の専門家ではなく、一般紙のジャーナリストによって行われたことも意義深い。文化のことを常に専門家が占有して報道するとどうしても視野が狭くなります。こうした社会性のある視点は大切です。

                                                    林田

2007/12/04

山田耕筰

美しい日本歌曲で知られる山田耕筰ですが、最近は交響曲やオペラの作曲家としても注目されるようになって来ました。来年2月には新国立劇場でオペラ「黒船」が上演されますが、個人的にもとても注目しています。彼の交響曲の面白さからしても、期待できると思います。日本の近代音楽の輝かしい1ページに触れる滅多にないチャンスです。

1498911 「生物と無生物のあいだ」(福岡伸一著/講談社現代新書)

生命とは何かという問いをめぐる科学者たちの探求、営みをテーマに、科学本来の知的好奇心、探究心を取り戻させてくれる本。文句なしに面白いです。たとえば、私たちが恐れているが身近な存在、ウイルスがどのようなものか、福岡さんの科学的な描写にかかると、とてつもなくミステリアスで興味深い謎めいた対象となってきます。アカデミズムの世界を「暗く隠微なたこつぼの世界」と断じる批判精神もまた、本書の大きな魅力です。今年最大の話題の一冊となっただけのことはあります。文章も雄弁で素晴らしいです。文系の人間がなまじ頭だけでこねくり回した抽象的なものよりも、こうした具体的事物に即した科学書は、はるかに文学的です。必読。

                                                    林田

2007/12/03

師走だワッショイ☆クラシック

2007年も最後の月になってしまいました。

10月、11月と海外招聘もののクラシック・コンサートが目白押しでしたが

12月に入ると、今度は「第九」「クリスマス・キャロル」「くるみ割り人形」が毎週のように催され

日本人の律儀な季節感に感心してしまいます。第九を年末に演奏する、という

習慣自体、日本にしかないものだといいますし、その点ではアンパンややきそばパン

にも似た何かなのかも知れません。でも、年をとると、晦日は晦日らしく、

正月は正月らしく過ごしたくなるものです。

今年は、柄にもなく「第九」で一年をシメようかと考え中・・・・。

年明けはオペレッタやモーツァルトの「フィガロ」の公演も多いようです。

めでたい気分を明るいオペラで盛り上げるのもまた、鶴亀な感じでよいですよね^^

今日はそんな年末年始のクラシック・コンサート情報や

クラシックのコンクールに関する雑感などをトークしてみる予定です。

(今日のOTTAVAルームはリンゴのよい香りでいっぱいです!

OTTAVA GRAZIAの武村八重子さんのおみやげ・・・武村さん、ありがとう☆)

おだしま

profile

林田直樹

 音楽之友社に13年間在職、「音楽之友」「レコード芸術」などの編集に携わり、「グランドオペラ」の創刊にもかかわる。現在は、フリーのクラシック評論家として活躍。著書に「クラシック新定番100人100曲」(アスキー新書)など。 その他多くの新聞・雑誌・CDライナーノート・公演プログラムやAmazon.co.jpの音楽コラム等にも寄稿。

小田島久恵

 高校時代より洋楽雑誌「ロッキング・オン」に投稿ライターとしてロック評論を執筆、1991年から同誌に編集としてかかわる。2001年からクラシック批評を積極的に執筆開始。最近では、クラシック以外にも様々なジャンルも取り扱い、情報誌やファッション誌でも書評・コラム・エッセイなどを執筆。

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